特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版280の新人審査官を一括採用するなど、審査処理促進に向けた取組を進めている。なお、商標については、2017年3月までにFAを1か月まで短縮することを目標としていたところ、100名の商標契約審査官の採用等によりその目標はすでに達成済であるが、その一方で、異議申立件数が増大していることが新たな課題となっている。また、インド商工会議所からは、ここ数年インド政府に建議書を提出しており、知的財産関連の要望等については、インド知的財産研究会(インドIPG)が作成しているところ、2017年6月には、要望の一つとして提出されていた、コンピュータ関連発明のガイドラインが改訂され、一定の成果が見いだされている。(2)近年の知的財産政策の動向インド政府は、2014年9月、インドにおける製造業を振興する“Make in India”イニシアチブを打ち出し、知的財産権の保護を含む投資環境整備を推進してきた。2015年8月には、“Start-up India”構想を公表し、2016年5月に導入された早期審査制度の対象にスタートアップ企業を含めるなど、スタートアップ企業に対する知財面での支援も行っている。また、2016年5月に発表された国家知的財産権政策では、特許・意匠・商標の登録及び異議申立ての処理期限の設定と厳守、知的財産権推進管理部(CIPAM)の創設、商事裁判所を通じた知財紛争の解決等、知的財産の創造を奨励し、その活用を推奨するための知的財産制度整備の方針が示されている。2017年度には、国家知的財産権政策に基づいて、2020年度末までの知的財産の普及啓発プログラムを公表し、教育機関・産業界に対して約4,000のセミナー等を実施予定であることを明らかにしている。2018年1月には、CIPAM主導の下、若い世代におけるイノベーションと創造性の文化を促進することを目的として、大学生向け知財コンテスト(IPrism)が開催された。(3)インド特許意匠商標総局の取組インドでは、近年の経済成長に合わせて、特許出願件数も急速に増加しており、審査順番待ち件数の増大が課題となっている。インド特許意匠商標総局は、2019年までにFA(First Action)期間を18か月まで短縮することを目標としており、2016年度に約460名5432102420161284020112010200920082007200620122013201420152016(年)(万件)(1000億US$)出願件数名目GDPインドフランスその他米国名目GDPスイスオランダ日本英国ドイツ3-1-12図 インドにおける特許出願件数と名目GDPの推移(備考)国別内訳は下記資料の定義に従っている。(出典)出願件数:WIPO統計、名目GDP:世界銀行

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