特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版282(1)我が国との関係日本国特許庁は、ロシア特許庁(Rospatent)との間で2009年5月から特許審査ハイウェイ(PPH)の試行、2010年3月から国際審査官協議をそれぞれ開始している。2016年12月には、産業財産分野における協力深化を目的とする協力覚書に署名した。2017年10月には、第21回ロシア特許庁年次総会に日本国特許庁から職員2名を派遣し、特許庁の取組について講演を行った。さらに、同年12月には、先行技術文献検索外注の導入を検討するロシア特許庁の要請を受けて、専門家2名をロシア特許庁から受け入れた。(2)近年の知的財産政策の動向及びロシア特許庁の取組ロシアは、2011年12月に世界貿易機関(WTO)加盟が承認され、2012年8月に正式な加盟国となった。知的財産分野では、特許出願料を含む知的財産権関係料金について、居住者、非居住者の区分を撤廃し、統一料金を設けた。2008年1月、特許法を始めとする多くの知的財産関連法が民法典第四部1に一本化され、2014年10月には、実用新案の実体審査の導ロシアにおける動向9本節では、我が国との関係に加え、ロシアにおける近年の知的財産政策の動向及びロシア特許庁(Rospatent)の各種取組について紹介する。入、世界公知の採用、及び意匠登録請求の範囲の提出の廃止等を含む民法典第四部の改正法が施行された。2013年7月には、知的財産裁判所が稼働を開始した。知的財産関連訴訟を審議する特別商事裁判所として、第1審及び破毀審(第3審)としての役割を果たしている。また、2016年2月、ロシア特許庁と欧州特許庁は、2年間を期限として、サーチツール開発などITの情報共有、データ交換、専門家のトレーニング、ユーザー普及啓発活動、特許分類等の内容を含む協力プランに合意した。さらに、2017年4月、プーチン大統領は「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定(Geneva Act of the Hague Agreement Concerning the Interenational Registration of Industrial Designs)」の批准に関する法律に署名し、同年11月、ロシア政府は、ハーグ協定のジュネーブ(1999年)改正協定の加盟書をWIPO事務局長に寄託した。これにより、ロシアは1999年改正協定の53番目の加盟国、及びハーグ制度の67番目の加盟国となった。1 民法典第四部和訳:http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/russia/minpou_no4.pdf 民法典第四部英訳:http://www.rupto.ru/content/uploadfiles/Civil_Code.pdf1-11-2
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