特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章特許行政年次報告書2018年版284制度・運用に関する情報交換、人材育成、情報技術の利用等に関する協力覚書に署名を行った。国際審査官協議を2012年から開始しており、これまでに日本国特許庁の特許審査官延べ4名をメキシコ産業財産庁へ派遣し、メキシコ産業財産庁から延べ4名の特許審査官を受け入れた。コロンビアは、2012年5月にマドリッド協定議定書に加盟した。また、我が国との間で2012年12月からEPA 交渉を行っており、EPAが発効すれば、両国間の経済関係の一層の発展が期待される。日本国特許庁との関係においては、2014年8月に協力覚書に署名しており、同年9月に特許審査ハイウェイ(PPH) の試行を開始し、国際審査官協議を2016年から開始している。また、知的財産制度・運用に関する情報交換や専門家派遣等の協力も進めてきており、2014年12月に我が国からコロンビアへ、2015年12月にコロンビアから我が国への専門家派遣が行われた。アルゼンチンは、日本国特許庁との関係においては、2015年から招へい研修を開始するなど、協力関係を深めてきた。2015年10月には、アルゼンチン知財庁と日本国特許庁との間で、知財制度の理解促進、審査効率や処理能力の向上に関する経験の共有、及びセミナーの開催によるユーザーへの情報発信等によるユーザーとの交流促進を主とした協力覚書に署名がされた。また両庁は、2016年4月に国際審査官協議、2017年4月に特許審査ハイウェイ(PPH)の試行をそれぞれ開始している。また、2016年より、我が国とアルゼンチンの間の官民による情報交換及びビジネス環境の改善、両国の貿易・投資の促進を目的とした日亜貿易投資合同委員会が年1回の頻度で開催されており、知的財産分野においても協議が行われている。チリは、日本国特許庁との関係においては、これまでも審査官向け招へい研修への受け入この規則案は、実体審査を行うことなく特許を付与する法案であり、2018年3月時点で、大統領府にて検討されている。ブラジル産業財産庁は、2007年10月に開催されたWIPO加盟国総会において国際調査機関(ISA)・国際予備審査機関(IPEA)として承認され、2009年8月から国際調査・国際予備審査業務を開始した。同庁は中南米諸国の中小規模特許庁と特許審査等で協力を進めるプラットフォーム「産業財産における地域協力システム(PROSUR)1」の構築を提案するなど、同地域における特許庁間の協力強化を進め、2017年7月には、参加を保留していたPROSUR間での特許審査ハイウェイ(PPH)を試行開始している。医薬用の製品及び方法に関する特許を付与するにあたって、国家衛生監督庁(ANVISA)での審査の後にブラジル産業財産庁での特許出願の審査が実施されていたが、2017年6月よりANVISAは安全性の検査に徹し、特許審査についてはブラジル産業財産庁が行うことになった。(2)その他の中南米諸国中南米諸国の知的財産庁は、互いに近隣知的財産庁との連携を深めている。具体的な先行技術文献サーチ・審査協力のための枠組みとして、中米諸国には「中米諸国並びにドミニカ共和国向け特許出願検索管理サポートシステム(CADOPAT)2」、南米諸国には産業財産における地域協力システム(PROSUR)によるウェブプラットホーム「e-PEC」が設けられている。メキシコは、2013年2月にマドリッド協定議定書に加盟した。我が国との関係では、2011年7月から特許審査ハイウェイ(PPH)の試行を開始し、2012年11月に本格実施に移行している。また、日本国特許庁とメキシコ産業財産庁とは2012年2月に、知的財産1 PROSUR:2008年に設立された南米9か国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルー、スリナム、ウルグアイ)による審査協力等を中心とした知的財産協力の枠組み。2 CADOPAT:2007年に設立された、メキシコが参加国の特許サーチを支援するシステム。2017年時点での参加国は、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、ドミニカ、キューバ、ベリーズ、コロンビア、パラグアイ、エクアドル、アフリカ地域知的所有権機関(ARIPO)。 

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