特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章Column 37 特許行政年次報告書2018年版286ブラジルにおけるライセンス契約等の登録制度日本貿易振興機構 サンパウロ事務所 ブラジルでも知的財産に関するライセンス契約などは当事者が自由に締結することができる。ただし、①ロイヤリティ収入等を国外に送金したい場合、②第三者に対する対抗力を生じさせたい場合、③税控除を受けたい場合には必ずライセンス契約等をブラジル産業財産庁(INPI)に登録しなければならない。歴史的・政治的事情から、INPIは30年以上にわたり、国内産業の利益保護を重視する形で、明文化されていない様々な独自ルールに基づき契約条件の審査を行ってきた。契約の各条項がある種の制約に反する場合、INPIは両当事者が自由に合意した条件に介入し、場合によっては当該契約の登録を拒絶することもあった。そのため、この登録制度に悩まされている外国企業は少なくなかった。最近、この登録制度の改善に向けた大きな動きがあり、INPIは2017年4月に登録審査の簡素化に関する規則70/2017号を公布するとともに(施行は同年7月1日)、同年7月には審査ガイドライン(決議第199/2017号)を公表した。これにより、登録審査の透明性と予測可能性が高まることが期待されている。ライセンス契約等の登録制度に関する現地日本企業向けセミナーの様子

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