特許行政年次報告書2018年度版
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Column 38 特許行政年次報告書2018年版289第1章第2章第3部・国際的な動向と特許庁の取組アラブ首長国連邦・サウジアラビアにて現地知財セミナーを開催日本貿易振興機構 ドバイ事務所世界税関機構(WCO)「The 2016 Illicit Trade Report」によると、2016年の税関での模倣品差止について、上位10か国のうち5か国が中東・北アフリカ地域の国であり、サウジアラビアが第1位であった。多くの模倣品が中東地域に流入しているとみられ、中東地域における知財保護・模倣品対策の重要性が増している。このような状況下で、2017年度は、アラブ首長国連邦(UAE)及びサウジアラビアにおいて、下記の現地セミナーを11月に開催した。○UAE知財司法ワークショップ日本国経済産業省、日本国特許庁、IIPPF中東PJ、JETROは、ドバイにてUAE知財司法ワークショップを開催した。UAE側からは裁判官、検察官、弁護士が多数出席し、司法研修所のDr. Mohamed Al Kamali所長がUAEにおける知的財産権保護制度について講演を行った。日本国特許庁からは嶋野技監が審判制度について、日本国経済産業省模倣品対策室からは鷹野氏が知財裁判制度について講演を行った。パネルディスカッションでは、具体的な知財侵害事例を想定して、お互いの見解・意見を交換した。参加者は、UAE・日本双方の知財保護制度について理解を深めた。○UAE真贋判定セミナー日本国経済産業省・JETRO共催で、ドバイ・シャルジャの税関・警察・経済開発局等の職員向けに真贋判定セミナーを開催した。本セミナーでは、IIPPF中東PJ、中東IPGのメンバーである日本企業10社が、真正品と模倣品の見分け方等についてのプレゼンテーションを行った。また、フリーゾーンにおける模倣品の取締りについても議論が行われた。○サウジアラビア真贋判定セミナー日本国経済産業省・JETRO共催で、サウジアラビアの税関・商業投資省職員向けに真贋判定セミナーを、リヤドとジェッダで開催した。本セミナーでは、IIPPF中東PJ、中東IPGのメンバーである日本企業8社が、プレゼンテーションを行った。また、日本の関税局から三輪氏が日本の水際での模倣品対策について講演を行った。サウジアラビアのサルマン国王は2017年3月に訪日し、安倍総理との会談で「日・サウジ・ビジョン2030」について合意した。この中には模倣品対策についての協力も含まれており、この合意に基づく具体的な取組の一環として本セミナーが開催された。UAE知財司法ワークショップサウジアラビア真贋判定セミナーの様子

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