特許行政年次報告書2018年度版
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国際的な知的財産制度の動向第1章Column 39 特許行政年次報告書2018年版290南アフリカにおける知財の進展日本貿易振興機構 ドバイ事務所近年、南アフリカにおいては、知財ポリシーの策定、特許実体審査の開始に向けた取組など、知財に関する様々な進展が見られる。○知財ポリシーの策定南アフリカは、産業界と南アフリカ国民の両方のニーズに応える知財ポリシーの策定を目指している。特に、国民のニーズに関しては、医薬品の公衆アクセスの確保に注意が払われている。知財ポリシー・第1フェーズのドラフトは2017年8月に公表され、パブリックコメントが募集された。第1フェーズは特許実体審査、国際条約への対応、医薬品特許等に関するものであった。2018年は、著作権、知財教育等に関する第2フェーズのドラフトが公表される見込みである。○特許実体審査の開始に向けた取組南アフリカ知財当局(CIPC)は、特許実体審査の開始に向けて、審査官の採用・トレーニング、法令改正、審査基準作成等を進めている。2016年に採用した第一期の審査官の研修はまもなく完了する見込みである。日本国特許庁は、当該審査官への研修として、2016年2月及び2017年1月に日本で「南アフリカ特許審査実務コース」を実施した。上記法令改正は2019年5月の総選挙後となる可能性が高く、法令が改正され次第、特許の実体審査を開始すると見られる。○マドリッド協定議定書への加盟に向けた動き南アフリカにおいては、マドリッド協定議定書への加盟に向けた動きが着実に進んでいる。2017年前半には政府内のワーキンググループにおいて改正法案の起草が完了した。順調に進めば2019年前半に南アフリカはマドリッド協定議定書に加盟することができると見られる。○著作権法の改正現在、南アフリカは1978年著作権法の改正に取組んでいる。2017年5月には改正法案が公表されパブコメが募集された。この改正法案には、次のような規定が含まれている。・デジタルプラットフォームへの対応・フェアユース、教育的利用、障害者による利用などの著作権の例外規定・著作権使用料徴収団体のための法的枠組み・WIPO諸条約への加盟・発効に向けた対応(WIPO実演・レコード条約、WIPO著作権条約、北京条約)この改正法案に対しては様々なコメントが寄せられたところであり、実際に著作権法が改正される時期は現時点で未定である。南アフリカ特許審査実務コース
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