特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版293第3部・国際的な動向と特許庁の取組第1章第2章の三極比較研究、PCTの品質改善及び標準必須特許に関する取組について議論を行った。(3)意匠五庁(ID5)会合①概要意匠五庁(ID5)会合は、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)、欧州連合知的財産庁(EUIPO)、中国国家知識産権局(SIPO)、韓国特許庁(KIPO)が、意匠分野における主要五庁間の国際協力を推進することを目的として、2015年12月に創設(於、米国・アレキサンドリア)した枠組みである。2017年12月のID5第3回年次会合(於、スペイン・アリカンテ)では、意匠保護に関する国際協力の強化と将来的な制度運用の国際調和に向けて、意匠の保護要件(保護対象となり得るデザイン創作物の範囲)、意匠出願のための図面開示要件、外国優先権の実務、意匠検索のための意匠分類、意匠出願や審査に関する統計、について、五庁の制度比較調査の結果を取りまとめるとともに、これらを今後ユーザーに公表することに合意した。また、新しい技術の意匠(GUIに代表されるデジタル技術由来の新しいデザイン等)の保護、部分意匠やグレースピリオドの取扱い等についての研究を、引き続き進めていくことを確認した。更に、ID5の協力活動に関する情報をユーザーと共有するためのプラットフォームとしてID5公式ウェブサイト1を設置することに合意するとともに、ID5ユーザーセッションにおいて、新しい技術の意匠の保護をテーマとする五庁担当者と五庁ユーザー間の意見交換を実施した。②プロジェクトの概要(括弧内は各プロジェクトのリード庁)a. 意匠統計の取りまとめ(JPO)五庁にとって相互に関心の高い意匠統計することに合意した。特に、日本国特許庁が議論をリードしている記載要件については、サポート要件、明確性要件及び実施可能要件に着目した事例研究を進めている。③ユーザーとの会合五庁は、日本知的財産協会(JIPA)、米国知的財産権法協会(AIPLA)、米国知的財産権者協会(IPO)、ビジネスヨーロッパ(BusinessEurope)、韓国知的財産権協会(KINPA)、中国専利保護協会(PPAC)の五庁ユーザーとハイレベル及び実務者レベルでの会合を開催し、意見交換を行っている。2017年5月の五庁長官・ユーザー会合では、第4次産業革命時代の知財保護等について、ハイレベルでの意見交換を行った。また、2018年1月には、日本国特許庁主催で第5回グローバル・ドシエ・タスクフォース(GDTF)会合を開催し、実務者レベルでグローバル・ドシエに関する様々なトピックについて意見交換を行った。そして、2018年2月には日本国特許庁主催で第2回インダストリー・コンサルティング・グループ(ICG)会合を開催し、実務者レベルで五庁でのワークシェア、制度調和等について意見交換を行った。(2)日米欧三極特許庁会合三極特許庁会合は、1980年代初め、出願数の急激な増加に直面したことによる課題を解決するために、日本国特許庁(JPO)、米国特許商標庁(USPTO)及び欧州特許庁(EPO)の三極特許庁の間において創設されたものであり、1983年に第1回三極特許庁長官会合が開催された。以降、継続的に三極特許庁会合を開催し、IT、ワークシェア、PCT等、幅広い分野について議論を行っている。2018年3月には、日本国特許庁主催で第36回三極特許庁長官会合を開催し、特許制度調和、コンピュータソフトウエア関連発明1 http://id-five.org/1

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