特許行政年次報告書2018年度版
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グローバルな知的財産環境の整備に向けて第2章特許行政年次報告書2018年版302同盟総会で承認された。(ⅱ)PCT-MIAPCT-MIAは、ISA・IPEAとして任命されている知財庁の会合であるとともに、PCT作業部会に向けた実務者間の協議の場としても位置づけられている。2018年2月、スペイン・マドリードにおいて開催された第25回会合では、かねて我が国から提案していた国際段階と国内段階の連携のためのPCT国際調査・予備審査ガイドラインの改訂案について引き続き多くの参加国からの支持が得られたため、事務局はガイドラインの改訂に向けた各国への意見照会手続に入った。そのほか、品質管理システムに関する同ガイドライン21章の強化や、PCT制度の将来等についても議論が行われた。b. WIPO特許法常設委員会(SCP)SCPは、2000年11月の第4回会合以降、実体特許法条約作成に向けて議論を続けていた。2005年6月の第11回会合以降、南北対立により3年間、会合を開催することができなかったが、その後の調整の結果、2008年6月に第12回会合が開催され、2011年5月の第16回会合以降、「特許権の例外と制限」、「特許の質(異議制度を含む)」、「特許と健康」、「依頼者と代理人の間の秘匿」、「技術移転」の5項目について、各国のコメントや事務局による予備研究に基づき、議論が続けられてきた。2017年12月の第27回会合では、これらの5項目に関するプレゼンテーション等を通じて意見交換がなされ、我が国からは、「特許の質(異議制度を含む)」の項目に関する議題についてプレゼンテーションを行った。また、将来の作業として、第27回会合のワークプログラムをベースにしたプログラムが合意され、第28回会合で引き続き議論が行われることとなった。②特許a. PCT関連会合PCTは、一つの国際出願により、152か国1の締約国全てに出願した効果を与える条約であり、1970年に採択された。近年、世界的に出願件数が増加しており、グローバルな特許取得のための手段として今後も発展することが期待されている。PCT制度の改善については、我が国、欧米等の主要締約国が中心となり、2001年からPCTリフォームの議題が議論され、複数の規則改正が実現されるに至った。現在も引き続き、PCT国際機関会合(PCT-MIA)、PCT作業部会、PCT同盟総会等において、PCT制度の更なる発展について検討が行われている。(ⅰ)PCT作業部会PCT作業部会は、PCT同盟総会に向けた締約国間における協議の場と位置づけられている。2017年5月にジュネーブで開催された第10回会合では、ePCTをはじめとするITサービスの改善に関する議題、官庁間における手数料取引の効率化や新たな減額措置など手数料関係の議題、及び発明の名称の英訳提出や要約の文字数などの手続面の議題について議論が行われた。同作業部会と同時期に開催されたPCT技術協力委員会(CTC)では、2017年末をもって満期を迎えることとなっていた当庁を含めた既存の22の国際機関(ISA・IPEA)について、同盟総会に対して再任の助言を行うことを決定した。さらに同委員会では、フィリピン知的財産庁(IPOPHL)からの任命申請に基づき、同じく同盟総会に対し、IPOPHLのISA・IPEA任命のための助言を決定した。なお、以上の議題のうち、作業部会が議決したPCT規則改正案とCTCが助言を決定した既存機関のISA・IPEA 再任及びIPOPHLの任命については、2017年10月に開催されたPCT 1 2018年3月現在

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