特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版303第3部・国際的な動向と特許庁の取組第1章第2章同協定は、2015年5月13日に、我が国について発効し、特許庁は意匠の国際登録出願の受付を開始した。2018年3月現在のジュネーブ改正協定締約国は、米国、韓国、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、ハンガリー、ノルウェー、トルコ、シンガポール、ロシア等の53か国・地域である。また、ハーグ協定に基づく2017年の国際意匠登録件数は5,041件(複数意匠一出願制度を採用しているため、意匠数では計19,241件)であった2。ハーグ制度の法的発展のための作業部会は、ハーグ同盟総会によって2011年に設立された。同作業部会では、ハーグ協定及び同ジュネーブ改正協定締約国並びにオブザーバー(ユーザーグループ及びハーグ協定未加盟国)が一同に集まり、ユーザーニーズを踏まえたハーグ制度の改善のために必要な共通規則及び実施細則の改正に係る議論が行われている。我が国は、2015年12月の第5回会合からジュネーブ改正協定締約国として正式参加している。2016年6月の第6回会合では、創作者の氏名又は住所の追加変更や国際事務局による審査に関する共通規則の改正提案、国際登録簿におけるデータ構造の刷新に関するプロジェクト、ハーグ制度における最近の動向等について議論が行われた。なお、前記作業部会で議決した共通規則の改正提案は、第5回作業部会で議決した改正事項とともに、2016年10月に開催されたハーグ同盟総会で承認された。c. ロカルノ同盟専門家委員会ロカルノ協定は、意匠の国際分類を制定する協定であり、1968年に成立し、1971年に発効した。同協定により定められるロカルノ国際意匠分類(ロカルノ分類)は、クラスとサブクラス、各サブクラスに分類される物品のリスト及び注釈から構成される。最新版は③意匠a. 商標・意匠・地理的表示の法律に関する常設委員会(SCT)SCTは、WIPO加盟国及びオブザーバーが商標、意匠及び地理的表示の法律に関する議論を行うための常設委員会である。意匠分野では、2006年11月の第16回会合から、手続の調和に向けた検討を行っており、各国制度の調査と手続項目ごとの整理比較を経て、第24回会合(2010年)以降は、意匠法条約(仮称。以下、「DLT」という。)を想定した具体的な条文案(以下、「DLT案」という。)に基づき議論がなされた。これまでの累次の会合を経て、多くの国がDLT案については外交会議の開催に十分なほど議論が成熟したと認識している。しかし、(ⅰ)途上国における同条約の履行を促進するための技術支援や能力開発に関する規定、及び(ⅱ)伝統的文化表現等の出所開示に関する規定1の位置づけについては、依然として各国間の懸隔が残っている。これら論点は2016年及び2017年の一般総会でも議論されたが依然として対立は解消せず、外交会議開催を目指し、2018年の一般総会で引き続き検討することとなっている。なお、第35回会合(2016年4月)以降は、同会合において我が国と米国、イスラエルの共同提案により実施した、グラフィカルユーザーインターフェース等を含む新技術の意匠の加盟国における保護状況に関する調査を踏まえた議論や、優先権書類のためのデジタルアクセスサービス(DAS)への各加盟国の参加検討状況に関する情報共有が行われている。b. ハーグ制度の法的発展に関する作業部会ハーグ協定は意匠の国際登録制度に関する条約である。幾度かの改正の後、実体審査国等の参加による地理的な拡大を目指して、1999年にジュネーブ改正協定が採択された。1 2014年11月の第32回会合でアフリカグループから提案された。2 http://www.wipo.int/hague/en/statistics/index.jsp2
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