特許行政年次報告書2018年度版
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グローバルな知的財産環境の整備に向けて第2章特許行政年次報告書2018年版310米国、EU及び中国)は2年に1回、次の16か国は4年に1回、その他の国は6年に1回、TPRMの対象国となる。我が国に対するTPRMに基づく検討会合は、直近では2017年3月に実施され、多くの国から、我が国の知的財産制度及び運用等について質問がなされた。(3)APECにおける知的財産権専門家会合(IPEG)APECとは、アジア太平洋地域の21か国・地域(エコノミー)をメンバーとして、貿易・投資の自由化・円滑化及び経済技術協力を目指す地域フォーラムである。1995年のAPEC大阪首脳会議において、貿易・投資の自由化・円滑化に関する15の優先分野の一つとして知的財産権が取り上げられ、それに対応した専門家レベルのフォーラムとして知的財産権専門家会合(IPEG)が設立された。IPEGでは、貿易・投資の自由化・円滑化を促進するために、2001年にTRIPS協定履行完了に対応して作成された新しい共同行動計画(CAP:Collective Action Plan)に従った活動を行っている。IPEGの具体的活動としては、通常毎年2回の定期会合のほか、知的財産に関する官民合同セミナーやシンポジウムを開催している。2017年8月の第45回会合では、IoTに対応した特許審査に係る取組、包括的なイノベーションと中堅中小企業の成長、WIPOジャパン・トラスト・ファンドを活用した取組について紹介した。また、2018年2月の第46回会合では、日本におけるIPR強化に向けた行政機関間での連携、ユーザーフレンドリーな審査に向けた取組、前回に案内していたWIPOジャパンファンド30周年記念ハイレベルフォーラムについて紹介した。貿易(10月)といったテーマのもと、我が国を含む先進国が具体的取組の紹介を通じてイノベーション促進に果たす知的財産権の重要性を説明した。他方、インド、ブラジル等の一部の途上国は、知財はイノベーションの障壁ともなり得ると主張した。d. 医薬品に関する後発開発途上国(LDC)に対する経過措置の延長TRIPS協定第66条第1項では、LDCに対しTRIPS協定を履行するまでに10年の経過期間が与えられていた。これについて、LDCからの経過期間延長要請がTRIPS理事会で承認され、現在、2021年7月1日まで経過期間が延長されている。また、2015年2月のTRIPS理事会では、医薬品に関して、TRIPS協定第2部第5節の「特許」及び同第7節の「非開示情報の保護」についての経過期間、TRIPS協定第70条第8項(メールボックス出願規定)の履行義務免除、並びにTRIPS協定第70条第9項(排他的販売権規定)の履行義務免除を、各国がLDCである限り無期限に認めるようLDCから提案がなされた。以降、LDCと各国による二国間協議等を通じて調整が行われ、2033年1月1日まで前記の経過期間と履行義務免除を認めることが合意された。②貿易政策検討制度(TPRM1)TPRMは、WTO加盟国の貿易政策及び貿易慣行について一層の透明性を確保し、理解を深めることにより、多角的貿易体制が一層円滑に機能することに資することを目的として、一般理事会の貿易政策検討委員会により実施されている。WTO加盟国の内、過去3年間の貿易量の平均の上位4か国(近年は概ね日本、1 The Trade Policy Review Mechanism
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