特許行政年次報告書2018年度版
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グローバルな知的財産環境の整備に向けて第2章特許行政年次報告書2018年版314商品価値と市場競争力を向上させることを目的としたブランディングプロジェクトを2015年度に立ち上げ、現地職人の織工技術や商標制度への理解の向上のためのワークショップの開催や、展示会の実施、さらには統一の商標の使用、品質水準、団体の構成等に関する要件を定めるための取組を支援した。2017年4月、タイタバスケットはケニア産業財産庁へ団体商標として登録され、その後知財活用の普及啓蒙のため、本事業のプロモーションビデオが作成された2。i. ARIPO加盟国及びオブザーバー国の審査官のためのPCT国内移行段階審査サブリジョナルワークショップ(ジンバブエ)PCT国内移行審査の効率性と質を向上させ、さらに各国の国内段階における外部審査作業成果物の信頼性とその使用可能性を高めることを目的に、2017年9月にジンバブエで開催された。ARIPO並びにARIPO加盟国及びオブザーバー国から約20名の審査官が研修生として参加し、PCT国内移行段階審査や関連する先行技術等全般に係る講義や、個別案件の国内移行段階審査についての実践演習・ケーススタディ等が行われた。日本国特許庁からは、「審査作業成果物の検索及び他の審査結果の活用」というテーマの下、日本国特許庁が海外の知財庁に対して提供している「高度産業財産ネットワーク3(AIPN)」や、特許審査ハイウェイ(PPH)の概要について、審査結果に関する情報共有制度の事例として紹介し、ワークシェアリングの重要性を説明した。内の特許審査の実務をサポートするITシステム(サーチシステムや起案システム等)について紹介するとともに、ITの活用による審査効率と品質確保の取組(OPDやWIPO-CASEを活用した他庁審査結果の参照、品質管理の仕組み等)について紹介した。ASEAN諸国及びモンゴルの知財庁からは、審査実務の概要やITインフラの整備状況等が共有され、ワークシェアリング促進に向けた課題等について活発な意見交換が行われた。g. 商標審査官のためのIPAS1に関するWIPO地域研修ワークショップ(ボツワナ)サブサハラのアフリカ諸国の商標審査官に対し、商標審査・情報検索のためのシステム(IPAS等)の利用のノウハウや、商標審査に利用可能なWIPOツールとサービスについて習熟させることにより、当該地域の商標権設定の迅速化と最適化を推進させることを目的として、2017年7月にボツワナで開催された。ボツワナを含め、アフリカ20か国の知財庁の商標審査官等、30名以上が参加した。WIPO職員によるデータ交換・品質管理やIPAS利用等に関する講義や、参加各国によるカントリーレポート等が実施される中、日本国特許庁からは、日本の商標分野における機械化の歴史や、商標審査・情報検索システムの概要等について紹介した。h. ブランディング(商標化)プロジェクト~タイタバスケット~(ケニア)ケニアの民芸品であるタイタバスケットの1 WIPOが開発した知財庁の業務プロセスをサポートするシステム。2 http://www.wipo.int/cooperation/en/funds_in_trust/japan_fitip/news/2017/news_0001.html3 詳細は第3部第2章3.(3)②.日本国特許庁の審査関連情報の提供 参照。2
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