特許行政年次報告書2018年度版
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特許行政年次報告書2018年版319第3部・国際的な動向と特許庁の取組第1章第2章(1)模倣品問題の現状近年、模倣品・海賊版の流通は世界的に拡大しており、その被害内容も多様化・複雑化している。経済のグローバル化とアジア地域の経済発展に伴い、アジア地域で商標権や著作権等の知的財産権が侵害される事例が増加するとともに、アジア地域で製造された模倣品が世界中に拡散する傾向にある。2018年3月2日付財務省の報道発表1によると、2017年の我が国の税関における知的財産権侵害品の輸入差止め件数は、前年から17.6%増加し、30,627件で、3年ぶりに3万件を超え、過去2番目の高水準となっている。このような模倣品・海賊版の氾濫は、市場における潜在的販売機会の喪失、消費者に対するブランド・イメージの低下等の経済的影響だけでなく、偽造医薬品による健康への被害、製品の安全性の問題、組織犯罪への資金提供等の深刻な悪影響をもたらすものである。日本国特許庁が実施した模倣被害実態調査によると、2016年度において我が国の産業財産権を1件以上保有していた企業のうち、同年度中に模倣被害を受けた企業数は、全体推計で、9,284社(全体の5.4%)であった。また、2016年度において我が国の産業財産権を保有する企業が受けた模倣被害の状況を模倣品の製造国(地域)、経由国(地域)及び販売提供国(地域)に分けてみると、製造国が中国(香港を含む。以下同じ。)である企業数は、全体推計で3,315社、経由国が中国である企業は、全体推計で2,066社、販売提供国が中国である企業数は、全体推計で2,623社であり、模倣品問題への対応5知的財産権保護の制度・運用が不十分な国・地域において模倣品が製造され、流通することにより、世界的な広がりを見せている模倣品・海賊版被害は、我が国企業にとって深刻な問題となっている。本節では、特許庁をはじめとした政府による模倣品問題への取組について、その概要を紹介する。(備考)2016年度において我が国の産業財産権を1件以上保有していた企業に関する。(資料)特許庁「2017年度模倣被害実態調査報告書」(2018年3月)被害があった5.4%被害がなかった61.0%不明33.6%3-2-3図 模倣被害者数の割合(全体推計値)(備考)2016年度において我が国の産業財産権を1件以上保有していた企業に関する。(資料)特許庁「2017年度模倣被害実態調査報告書」(2018年3月)0製造経由販売中国(香港を含む)韓国台湾インド欧州その他ベトナムシンガポールインドネシアタイトルコ1,0002,0004,0003,0005001,5002,5003,5003,3152,0662,6234867321,09824795479847226202522686914089203840122282138149921 https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/safe_society/chiteki/cy2017/20180302.htm13-2-4図 国・地域別の模倣被害状況(全体推計値)
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