特許行政年次報告書2018年度版
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企業等における知的財産活動第2章Case 3 特許行政年次報告書2018年版56知的財産活用企業 -2018年度知財功労賞受賞企業より その3-知財活用企業(特許) 事業段階に応じて戦略的に知的財産権の実施やライセンスを行い、各国の市場での優位性を確保 日亜化学工業株式会社日亜化学工業株式会社(徳島県)は、青色LED、蛍光体とLEDを組み合わせた白色LED、さらに青紫半導体レーザーと世界初の光半導体を商品化し、LED、レーザーダイオード、蛍光体、電池材料等の製造販売を行っている企業である。これらの光半導体の発明は、ディスプレイ・照明・車載・産業機器・医療計測分野において光源の技術革新を起こしている。同社では、経営層の直下に知財部門を設置して経営の視点から知財戦略を策定し、開発した技術を財産として守ることの重要性を社内で共有している。戦略上重要なテーマについては、技術部門と知財部門が合同で特許出願を検討する会議を毎月開催し、開発成果の共有や今後の開発方針を決定している。重要な特許を世界各国へ出願することで、事業上で必要な特許網を国内外で構築している。また、知財部門に特許訴訟業務を行う専門部署を設けて、特許訴訟等に即時に対応できる体制を構築している。知的財産権は事業で利用されてはじめて価値を持つという考え方に基づき、製品化の黎明期・量産開始期・量産拡大期などの事業段階に応じて、戦略的な知的財産権の実施やライセンスを行っている。日米欧アジア主要各国で知的財産権を取得し、不正な模倣を防止する手段として知的財産権を活用し、これまでに世界各国で70件以上の特許侵害訴訟をはじめとする対処を実施するとともに、相互に技術を補完するため、クロスライセンスを積極的に行ってグローバルアライアンスを形成するなど、各国の市場で優位性を確保している。様々な用途に応じて開発されたLED製品LEDに用いられる多彩な発光色の蛍光体レーザーダイオードと蛍光体とを組み合わせたマイクロホワイト

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