特許行政年次報告書2018年度版
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Case 6 特許行政年次報告書2018年版59第5章第4章第3章第1部・知的財産をめぐる動向第1章第2章知財活用ベンチャー 社長を委員長とした委員会で特許の権利内容や秘匿化の方針等について 経営戦略の観点から判断 マイクロ波化学株式会社マイクロ波化学株式会社(大阪府)は、マイクロ波化学プロセスの研究開発・エンジニアリング及び同プロセスを活用した製品の製造販売・ライセンス事業等を行っているベンチャー企業である。同社は、社長を委員長にして各部門長や知財担当者などから構成される委員会を毎月開催している。同委員会では、権利内容・出願国の選択・秘匿化・他社特許への対策などについて、戦略的な事業展開を図るために顧問弁護士や弁理士の意見も活用しつつ、経営戦略の観点から判断している。限られた予算の中で効果的な権利活用に繋げるため、権利範囲が広く優位性を確保した特許となるように、将来の権利行使も考慮して特許出願を行っている。マイクロ波プロセスの優位性を保つため、原材料を反応し易くする独自開発の触媒や周波数・温度などマイクロ波を最も効率的に反応させるレシピはノウハウとして管理して、マイクロ波を利用した反応装置を特許出願して権利化するオープン&クローズ戦略を徹底している。権利化により参入障壁を高くしすぎることで黎明期にある技術の普及が遅れて市場が拡大しない状況に陥ることを防ぐため、食品・化学品・医薬品等の様々な分野の企業と合弁事業やライセンス事業を展開して、オープンイノベーションを実践している。知的財産活用企業 -2018年度知財功労賞受賞企業より その6-世界初の大型マイクロ波化学工場(製造能力:3200t/年)工場内にあるマイクロ波リアクターマイクロ波を用いて開発中の新素材(銀ナノワイヤ)

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