特許行政年次報告書2018年度版
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Column 2 特許行政年次報告書2018年版73第5章第3章第2章第1部・知的財産をめぐる動向第1章第4章名古屋大学における産学官連携の取組について名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 知財・技術移転グループ1.学術研究・産学官連携推進本部の設置名古屋大学では、学内横断的な融合領域や新学術領域など、新たな研究分野を開拓する必要性から、大学として組織的に対応できる研究支援の体制を進めてきている。2013年度には、研究推進室、産学官連携推進本部及びリサーチアドミニストレーション室を一体化し、包括的なマネジメントにより、基礎研究から産学連携に至るまでを一貫した体制で推進する「学術研究・産学官連携推進本部」を設置し、これにより、これまで分散していたURA1、産学官連携コーディネータ、事務職員などの人材を1つの組織に集約することで、強固な研究マネジメントが行える体制となっている。また、2015年には、これらの活動の場を新たに建設されたNIC(ナショナルイノベーションコンプレックス)に集約することで、一つ屋根の下で全学的な研究力強化に向けた活動を効率的に展開できる体制となっている。2.知財・技術移転グループの活動学術研究・産学官連携推進本部には、知財・技術移転グループをはじめ6つのグループが置かれ、革新的研究とイノベーション創出のために、研究開発プロジェクトの企画・調整、外部資金の獲得、知的財産のマネジメント、輸出管理業務、地域連携、研究成果の外部発信等について幅広く支援を行っている。特に、知財・技術移転グループは、特許等の知的財産の創出支援・権利取得、知的財産権のライセンス・譲渡等の技術移転、大学発ベンチャーの創出支援、共同研究契約書のレビューなどの業務を担当し、社会ニーズに合致した技術を、より早く・スムーズに社会展開するために、発明発掘から技術移転までの一貫した活動を実施している。各研究室の先生との相談から始まり、実用化に向けた相手先企業の探索、ライセンス交渉などの活動を、一案件を担当する担当者が全てをこなすことで、各業務の効率と全体最適化が図られている。3.権利化活動、技術移転活動の課題一気通貫の活動を担当者が一人でこなすことは、高度なスキルが要求される。知財・技術移転グループ内には、企業知財部、特許事務所等の経験者も多く、発明発掘から技術移転に至る個々の活動についての経験者を擁しているが、担当者のこれまでの経験に頼るところが多く、組織的に安定した均一の支援を実現するため、担当者が担当する案件の情報共有や互いのスキルアップなどの努力を行っている。大学内の各拠点に配属されている知財担当者も知財・技術移転グループに在籍することで、これまでの担当者の経験に依存する1 URA(University Research Administrator)は、大学等において、研究者とともに(専ら研究を行う職とは別の位置付けとして)研究活動の企画・マネジメント、研究成果の活用促進を行うことにより、研究者の研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する人材。

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