特許行政年次報告書2019年版vii 平成31年間の家庭用ゲーム機のヒットの歴史をたどると、半導体性能の進化やインターフェース、ネットワークなどの技術の進化が反映されているとともに、そのときどきの人々の生活スタイルのなかのニーズやブームまで見て取れる。 家庭用ゲーム機の変遷をヒット商品となった代表的な商品とともに見ていこう。 平成の幕開け平成元年(1989年)にヒット商品となったのは携帯ゲーム機の「ゲームボーイ」。1980年代初頭に電卓から派生したゲーム&ウオッチを進化させたようなモノクロ画面を持つゲーム機だった。 すでに据え置き型のファミリーコンピュータ(ファミコン)が市場に定着していたなかでも大きなヒット商品となり、全世界で累計1億台以上売れた。平成を通じて売れたゲームキャラクターやゲームの原点ともなっている。 新しい時代の幕開けを告げる平成の初期の家庭用ゲーム機の代表機種は1990年(平成2年)11月に発売された任天堂の「スーパーファミコン」と1994年(平成6年)12月に発売されたソニーの「プレイステーション」である。 スーパーファミコンは、1983年に発売されたファミコンの後継機種で、16ビットのCPUを持ち、コントローラには十字型のカーソル移動キーとボタンの組み合わせが踏襲された。ファミコンでキラーコンテンツとなった「スーパーマリオブラザーズ」のキャラクターがカーレースを繰り広げる「スーパーマリオカート」が人気のコンテンツとなった。 スーパーファミコンは売れ続け、発売翌年の1991年にもヒット商品ランキングに取り上げられるほどの人気だった。カセットからCD-ROMへ ファミコン、スーパーファミコンと任天堂の独擅場だった家庭用ゲーム機市場に構造変革をもたらしたのが、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時。現在はソニー・インタラクティブエンタテインメント)の「プレイステーション」である。高速のグラフィックス処理を可能にしたプレイステーションはゲームソフトやコンテンツを読み込む媒体としてCD-ROMを採用したことが大きな特徴だった。またコントローラーも両手でしっかりと握って操作しやすいデザインを取り入れていた。 ファミコンやスーパーファミコンが半導体メモリーに書き込んだソフトをカセットに入れて提供平成元年(1989年)に発売し、携帯ゲーム機の先駆けとなったゲームボーイ(写真:任天堂)ゲーム編2知財の視点から振り返る平成という時代冒頭特集1994年(平成6年)に発売された初代の「プレイステーション」は、1億台の大ヒットに©2012 Sony Interac-tive Entertainment Inc.
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