特許行政年次報告書 2019年版
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知的財産をめぐる動向第1部第5章特許行政年次報告書2019年版75⑦がん免疫療法 近年、がん免疫療法と呼ばれる革新的治療法が国際的に注目されている。2018年、本庶佑教授(京都大)が、がん免疫療法の1つである免疫チェックポイント阻害療法の開発への貢献が認め 研究開発のトレンドは、免疫調節の一つである免疫チェックポイント阻害剤と、他のがん治療との併用療法に移行しており、併用療法に係る特許出願件数も近年増加している[1-5-35図]。一方で、養子免疫療法や腫瘍溶解性ウイルス療法と組みられ、ノーベル生理学・医学賞を受賞している。がん免疫療法は、免疫機能にかけられたブレーキを解除する、もしくは免疫機能を増強することで、がん細胞を除去することを目指した治療法である[1-5-34図]。合わせた併用療法に関する特許出願件数はまだ多くはない[1-5-36図]。今後、様々ながん免疫療法の組み合わせが研究され、大幅な治療効果の向上をもたらす我が国発の併用療法が開発されることが期待される。〇がん免疫療法は、革新的ながん治療法であり、昨年、本庶佑教法の1つである免疫チェックポイント阻害療法の開発への貢献が認学賞を受賞している。〇本調査では、免疫チェックポイント阻害療法を含めた以下の4技術象とした。免疫調節(免疫チェックポイント阻害療法、免疫増強、等)養子免疫療法(遺伝腫瘍溶解性ウイルス療法がんワクチン療法(ペ免疫細胞の認識を回避し、攻撃に対してブレーキ阻害剤によるブレーキ解除細胞正常細胞がん細胞阻害剤攻撃腫瘍溶解性アデノウイルス代表例:阻害剤代表例:細胞療法代表例:ペプチドワクチン感染がん抗原由来ペプチドを細胞に提示し、細胞を活性代表例:腫瘍溶解性アデノウイルスキメラ抗原受容体()遺伝子遺伝子導入がん細胞免疫細胞(細胞、等)免疫チェックポイント分子がん抗原由来ペプチド細胞樹状細胞3.3.がん免疫療法(1/4)がん細胞でのみウイルスが複製がん細胞をウイルスが溶解1-5-34図 がん免疫療法の代表例(免疫チェックポイント阻害療法)(備考)2015年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。(資料)特許庁「平成30年度特許出願技術動向調査報告書―がん免疫療法―」1-5-35図 免疫チェックポイント阻害療法との併用療法のファミリー件数(日米欧中韓、出願年(優先権主張年):2002~2016年)0102030405060708090100020406080100その他韓国中国欧州米国日本合計2016201520142013201220112010200920082007200620052004200320021153033682037597400優先権主張2002-2016年合計ファミリー件数出願人国籍(地域)出願年(優先権主張年)

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