特許行政年次報告書 2019年版
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知的財産をめぐる動向第1部第5章特許行政年次報告書2019年版79⑨ハイバリアフィルム ハイバリアフィルムは、水蒸気や酸素の透過を防ぐために用いられるバリアフィルムよりも、高いバリア性能を備えたフィルムであり、食品の包装材料などとして用いられる。また、近年は有機ELディスプレイ等のフレキシブル基板の部材として利用されており、その重要性はますます高くなっている。 主に包装材料に用いられるカテゴリー1の出願動向は、我が国からの出願が大半を占めて世界をリードしている[1-5-44図]。バリア性の向上とコスト競争力の維持を図りつつ、引き続きニーズにきめ細かく対応できる技術開発を進める必要がある。また、海外市場を獲得するには、地域の現状やニーズを的確に把握し、対応することが重要である。 有機ELディスプレイなどに用いられるカテゴリー3の出願動向は、全体として2010年から急増している。近年は中国・韓国からの出願が存在感を示しつつあり、開発動向を注視する必要がある。日本のポジションを維持し、フレキシブル化及び大面積化に対応するバリア性や品質安定性の向上を優先して、研究開発を進めるべきである[1-5-45図]。(資料)特許庁「平成30年度特許出願技術動向調査報告書―ハイバリアフィルム―」1-5-43図 技術俯瞰図カテゴリー1包装材料無機太陽電池LCD電子ペーパー真空断熱パネル有機EL有機太陽電池水蒸気透過度(g/m2/day)(cc/m2/day/atm)(水蒸気透過度100g/m2/day以下)○1層○2~3層層構造材料製造技術○塗布製膜○気相製膜 ・PVD(真空蒸着、スパッタリング) ・CVD○連続製膜(Roll to Rollなど) ○フィルム化法 ・共押出 ・ラミネート ・延伸○無機系 ・シリカ  ・アルミナ ・アルミ ・窒化ケイ素○有機系 ・樹脂(PVAなど) ・低分子有機材料○有機無機ハイブリッド (シリカ/PVAなど)○多層 (4層以上)○有機・無機 交互積層酸素透過度10110010010-110-310-610-310-6カテゴリー2カテゴリー3(備考)2015年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない可能性がある。(資料)特許庁「平成30年度特許出願技術動向調査報告書―ハイバリアフィルム―」1-5-45図 カテゴリー3の出願人国籍(地域)別ファミリー件数推移(出願年(優先権主張年):2001~2016年)ファミリー件数優先権主張2001-2016年出願人国籍(地域)出願年(優先権主張年)0102030405060708090その他ASEAN各国韓国中国欧州米国日本合計20162015201420132012201120102009200820072006200520042003200220012338152332764772707753391111(備考)2015年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれ等で全出願データを反映していない可能性がある。(資料)特許庁「平成30年度特許出願技術動向調査報告書―ハイバリアフィルム―」1-5-44図 カテゴリー1の出願人国籍(地域)別ファミリー件数比率(出願年(優先権主張年):2001~2016年)日本国籍908件86.3%米国籍55件5.2%欧州国籍32件3.0%中国籍31件2.9%韓国籍20件1.9%ASEAN各国の国籍1件0.1%その他5件0.5%合計1,052件

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