特許行政年次報告書2019年版viiiするかたちだったのに比べ、CD-ROMの採用は、ゲームソフトの提供側の生産のしやすさを一気に向上させた。ヒットの要因としてそれまで任天堂向けに提供されていた人気ゲームソフトの「ファイナルファンジー」シリーズや「ドラゴンクエスト」シリーズがプレイステーション向けも発売されたことも挙げられる。プレイステーションは、全世界で1億台以上売れるヒット商品となった(2012年3月31日時点での全世界累計販売台数)。 CD-ROMでコンテンツを購入するというスタイルは当時当たり前になっており、プレイステーション発売の前年にあたる1993年(平成5年)にはCD-ROMというコンテンツ提供スタイルそのものがヒット商品のランキングに入っている。 また、その当時の環境として1992年(平成4年)には、「ストリートファイターII」などで遊べる大型ゲームセンターがヒットしており、より素早い動きと美麗なグラフィックスが家庭用ゲーム機にも求められる下地ができていた。 こうした家庭用ゲーム機の高性能化をさらに推し進めてヒット商品となったのが2000年(平成12年)に発売された「プレイステーション 2」である。高速のCPUやグラフィックス用半導体を搭載して、ゲーム機としての性能をさらに向上したのに加えて、当時、新しい映像メディア・パッケージの規格だったDVDの再生機能も備えたため、「DVDプレイヤー」としてだけ買ってもお得だという評価も得て、幅広いユーザー層に支持された。家庭用ゲーム機としては過去最高とされる1億5000万台以上を世界で売るほどのヒット商品となった(2012年3月31日時点での全世界累計販売台数)。 プレイステーションが推し進めたハードウエアの性能を上げて高速で高精細なグラフィックスを追及したゲームは、一方で、「息抜き」や「癒し」をゲームに求めるライトなユーザーのニーズからは徐々に離れていったとみることができる。 こうしたユーザーが支持してヒット商品となったのが1997年(平成9年)から翌年にかけてヒットした「たまごっち」や「ポケモン」「ポケットピカチュウ(歩数計ゲーム)」である。ゆっくりと刺激の少ないゲーム性を楽しむこうした市場と、美麗なグラフィックスをバリバリ楽しむという市場の2極分化が起きた。 これは同時に、リビングの大画面テレビにゲーム機を接続して楽しむというスタイルと、より個人の生活時間に密着して楽しむ個人重視のスタイルの2極に分かれたともいえる。 この個人の時間というシーンに目をつけて巻き返しをはかったのが2004年(平成16年)12月に発売された「ニンテンドーDS」である。ゲーム&ウオッチの後期に採用されたこともある上下2画面にタッチスクリーン機能を加えて採用したことが大きな特徴だった。音声認識機能や無線通信で機種同士の通信を可能にするなど、これまでにないインターフェースも採用してヒット商品となった。ハンバーガーチェーンと協業して通信環境を整備するなど、新しいゲーム機の利用シーンを提案する機種となった。「センサー」を活用して楽しむ 家庭用ゲーム機の新しい用途提案といえば、2006年(平成18年)に発売された「Wii」がその代表格である。画面をにらみながら画面の中を操作して楽しむというこれまでのゲームスタイルを大きく変えることになった機種だ。 リビングの大画面テレビにつないでプレイする1996年に発売した「たまごっち」 @BANDAI,WiZ
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