特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版ixという仕組みは変わらないものの、筒状の片手で握れる無線コントローラには加速度センサーがついており、コントローラの向きや動きをリアルタイムに検知して、画面の中のゲームと連動して遊ぶという画期的なインターフェースだった。テニスやゴルフのゲームでは、熱中するあまり、コントローラを投げてテレビ画面を破損するユーザーが相次いで、話題になるほどだった。 この体を動かしてストレス発散したり、ファミリーで対戦したりといった「身体性」をさらに突き詰めた機種が翌2007年(平成19年)に発売された「Wii Fit」である。これはWiiを使ってヨガや筋トレができる健康管理ソフトともいえるものだが、体重計やバランス計測機能を持ったオプション機器との組み合わせでヒット商品となった。 実は2007年はダイエット用エクササイズを取り上げたトレーニングビデオ「ビリーズブートキャンプ」が大ヒットした年でもある。家庭で手軽に健康管理をしたり運動をしたりする意識が広く一般に浸透していた時期にWiiはヒット商品となった。 平成も終盤に入った2010年(平成22年)以降、爆発的に普及したスマートフォンは、ゲームの世界にも大きな変化をもたらした。日常生活でずっと持ち歩くスマートフォンにより、ちょっとしたすき間時間のためのコンテンツとしてゲームが広く普及した。「パズル&ドラゴンズ」など、ロールプレイング的な要素とパズルアクションなどを組み合わせたコンテンツがヒットした。それまでのゲーム機とそこにパッケージとして提供されるゲームソフトやコンテンツというスタイルは崩れ、クラウド化したゲームコンテンツにユーザーがスマートフォンでアクセスして楽しむというスタイルが一般化した。 スマートフォンをベースにしたゲームもその後進化を続けて、2016年(平成28年)に登場した「ポケモンGO」では位置情報とAR(拡張現実)技術を組み合わせて、リアルな外の世界と画面の中の世界を融合して楽しむというスタイルが登場した。 ゲーム専用機としての平成最後のヒット商品は2017年(平成29年)に登場した「Nintendo Switch」である。ファミリーコンピュータ以来のスタイルであるテレビに接続する据え置き型と、コントローラー部分とディスプレイを分離できる持ち運び型と据え置き型の両方を兼ね備えたゲーム機で、多様なシーンに対応できる。 かつてゲームボーイやファミコンで遊んだ世代が親となり、ゲームを楽しみたい子供を持つ年齢に達している。そのため、昔ヒットしたゲームタイトルも最新機種向けに投入されており、親子両方の需要をつかんだヒット商品となった。2017年(平成29年)に登場した、モバイルにも、据え置きにもなるNintendo Switch (写真:任天堂)知財の視点から振り返る平成という時代冒頭特集ゲームスタイルを大きく変えたWii。2006年(平成18年)発売(写真:任天堂)

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