特許行政年次報告書2019年版102第2章特許における取組な瑕疵に対する監査も実施している。 また、特許庁では、特許審査の質に関するユーザーニーズや期待を把握し、特許審査を継続的に改善することを目的として、特許審査等の質全般と特定の出願における審査等の質のそれぞれについてのユーザー評価調査を行っている。2018年度は、内国企業561社、外国企業46社、代理人50者を対象とした国内出願全般についての評価の調査、内国企業277社と代理人30者を対象とした国際調査報告又は国際予備審査報告についての評価の調査、2017年度に特許査定又は拒絶査定がなされた国内出願の中からランダム抽出された2,109件、2017年度に国際調査報告又は国際予備審査報告が作成されたPCT国際出願の中からランダム抽出された543件の個別出願についての評価の調査を行った。調査対象者からより一層自由・率直な評価・意見を得るために、前年度に引き続き、特許審査等の質全般の調査について無記名での回答を可能にした。本調査における調査票の回収率は、例年9割程度の高い水準にあり、多くのユーザーからの理解及び協力を得て実施されている。2018年度の調査では、国内出願における特許審査の質全般に対して、「満足」又は「比較的満足」と回答した割合は62.2%であり、前年度(58.3%)より3.9ポイント増加した。さらに、PCT国際出願における国際調査等の質全般に対して「普通」以上と回答した割合は96.2%であり、調査開始から引き続き高い水準の評価が得られている[2-2-4図]。 特許庁は、このユーザー評価調査に加えて、企業との意見交換会1や、特許庁ウェブサイト、電話等からの個別案件に関する情報提供2を通じて、特許審査の質に関するユーザーニーズ等の把握に努めている。c. 品質管理に対する外部評価(審査品質管理小委員会) 特許庁における品質管理の実施体制・実施状況についての客観的な検証・評価を受け、それを審査の品質管理システムに反映することを目的として、産業構造審議会知的財産分科会の下に、企業や法曹関係者、学識経験者等の外部有識者から構成される審査品質管理小委員会を設置している。2018年度は、前年度と同様に、当該年度に特許庁が実施している品質管理の実施体制・実施状況について、下記評価項目及び評価基準に基づき評価を受け、品質管理の実施体制・実施状況に関する改善点の提言を受けた[2-2-5図]3。③世界で通用する安定した権利の設定a. 先行技術文献調査のための基盤整備(FI改正・Fタームメンテナンス・標準関連文書等) 先行技術文献調査は、審査の質の維持・向上のための重要な柱の一つであり、そのための基盤を恒常的に整備することが重要である。国内外の特許文献を効率良く検索するために、日本国特許庁の内部分類であるFIを最新版の国際特許分類(IPC)に準拠させることなどを原則として、検索インデックスの再整備を推進している。2018年度は431メイングループのFI分類表を改正し、8テー1 詳細は第2部第8章7.企業と特許庁の意見交換を通じた取組を参照。2 https://www.jpo.go.jp/introduction/hinshitu/hinshitsu-iken.html3 https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/hinshitu_shoi/index.html322-2-5図 審査の品質管理の実施体制・実施状況の評価項目評価項目①「品質ポリシー」及び「品質マニュアル」等の文書の作成状況⑥品質向上のための取組②審査及び品質管理のための手続の明確性⑦品質検証のための取組③品質管理の基本原則等の制度ユーザーへの公表及び職員への周知⑧審査の質の分析・課題抽出④審査実施体制⑨質の高い審査を実現するための方針・手続・体制(評価項目①〜⑤)の改善状況⑤品質管理体制⑩品質管理の取組(評価項目⑥〜⑧)の改善状況⑪審査の質向上に関する取組の情報発信
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