特許行政年次報告書 2019年版
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特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版103第2章マのFタームメンテナンスを行った。 さらに、技術標準に関する規格文書及びその策定プロセスで提出された技術文書等の標準関連文書に対する検索環境の整備も進めており、2018年度は国際電気通信連合(ITU)などの標準規格文書の更新を行い、検索環境を拡充した。b. 国際特許分類(IPC)改正に向けた取組 特許分類は、世界の特許文献を効率的に検索するための重要なツールである。現在、国際的に広く利用されている国際特許分類(IPC)は、分類項目が少なく(約7万項目)、効率的な検索を行うためのツールとして十分機能するとはいえない。 日米欧中韓の五庁は協働してIPC改正に取り組んでいる。2013年1月に米国特許商標庁(USPTO)からGCI(Global Classification Initiative)の構築が提案され、2013年6月に開催された第6回五庁長官会合でGCIを実施していくことに合意した。GCIは、日本国特許庁の内部分類であるFI、Fタームと、欧州特許庁(EPO)及びUSPTOの内部分類であるCPCとが整合している(各内部分類の改正により整合することが確実となったものを含む)技術分野の分類をIPCに導入するActivity ⅰと、新規技術に対応した分類を協働して作るActivity ⅱとから成る。現在に至るまでGCIの取組は着実に実施されており、多くのIPC改正提案が五庁からIPC加盟国に提示され、IPC改正の議論をリードしている。日本国特許庁は、2019年3月までにGCIの枠組みで59の技術分野においてIPC改正を目指す提案を行っており、五庁及びIPC加盟国での議論を経て、2019年1月に5の技術分野で新たなIPCが発効されている。また、2013年2月に世界知的所有権機関(WIPO)で開催されたIPC同盟専門家委員会において、IPCの項目数に比して新興国の特許文献が多く蓄積されているためIPC改正が優先的に行われるべきと考えられる技術分野を、WIPOがIPC加盟国に定期的に提示1することとなった。これにより、新興国の特許文献が多い分野においても、IPCの細分化が進められている。今後も技術の進展に応じてIPCをより効率的な検索ツールとするために、五庁及びIPC加盟国と協働してIPC改正を進めていく。c. グローバル化に対応した品質管理の充実 グローバル出願が増加する中で、ユーザーにとっては権利化の予見性の向上がより重要な課題となってきている。日本国特許庁では、このような状況にあるユーザーを支援する観点から、グローバル化に対応した品質管理の充実のための以下のような取組を行ってきている。 2019年2月、エジプト・カイロにおいて開催されたPCT国際機関会合(MIA)第26回会合では、我が庁から、我が庁の特許審査の質の維持・向上のための取組やユーザー評価調査結果等を紹介した。また、かねてより我が国から提案していた国際段階と国内段階の連携のためのPCT国際調査・予備審査ガイドラインの更なる改訂案について議論の結果、事務局はガイドラインの改訂に向けた各国への意見照会手続に入ることとなった。そのほか、品質管理システムに関する同ガイドライン21章の強化や、国際調査報告書及び見解書の改善等についても議論が行われた。 さらに、現在、日本国特許庁での品質管理に関する取組として、日本国特許庁と外国特許庁との双方に出願され、審査結果が相違した案件を対象とした、判断相違の要因分析を実施している。2018年度も引き続き当該判断相違の要因分析を実施し、その結果を審査官に周知する等、グローバル化に対応した品質管理の充実に向けて活用している。d. 審査基準、審査ハンドブックに関する取組 新規性喪失の例外期間(グレース・ピリオド)を6か月から1年に延長する特許法第30条の改正に伴い、審査基準及び審査ハンドブックの改訂を行った。この審査基準は2018年6月9日以降の出願について適用されている。1 https://www3.wipo.int/classifications/ipc/ief/private/ipc/en/project/4477/CE4561

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