特許行政年次報告書2019年版112第2章特許における取組②国際的な特許制度の調和に向けた議論 特許制度は、各国で独立しているため、海外で特許を取得するためには、各国・地域の特許庁に出願をする必要がある。そして、海外において円滑な特許権の取得を可能とするためには、各国の特許制度の調和が不可欠である。 2014年9月に開催された特許制度調和に関する先進国会合(B+会合1)において、今後の制度調和の進め方について、参加国を限定してB+会合に設置したB+サブグループ2で実質的な議論を行うことで合意した。B+サブグループは、主に(ⅰ)グレースピリオド、(ⅱ)衝突する出願、(ⅲ)18か月全件公開、(ⅳ)先使用権、の4項目について議論を継続している。 2017年10月のB+会合では、翌年の会合において制度調和パッケージ(セットで調和すべき項目)を提案すべく、B+サブグループの場でユーザー主導の議論を進めていくことについて合意された。これを受けて、日米欧ユーザー(JIPA, AIPLA, IPO, BUSINESSEUROPE)は上記4項目について1年間議論を行い、2018年9月に、日米欧ユーザーで合意した論点と合意に至らなかった論点とをまとめた成果を報告し、その成果物を基に各国特許庁とユーザーとの間で引き続き議論が行われている。 今後も、特許制度調和の議論の機運の高まりを維持しつつ、特許制度調和に関係するあらゆる会合を通じ、日本国特許庁は特許制度調和に向けた取組を推進する。1 WIPO・Bグループ(先進国)メンバー、EU メンバー国、欧州特許条約(EPC)メンバー国、欧州特許庁(EPO)、欧州委員会(EC)、及び韓国の、46か国の特許庁及び2 機関。2 日、米、欧、英、独、韓、カナダ、デンマーク、ハンガリー、スペインの特許庁。2-2-15図 国際審査協力の実績(2000年4月~2019年3月末累積)
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