特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版113第2章(4)PCT国際出願の国際調査の管轄 現在、我が国企業は、アジアを中心とする新興国等を中心に研究開発拠点の海外展開を拡大させており、海外での知財活動がますます重要になってきていることがうかがえる。そうした状況の中、日本国特許庁としては、我が国企業がアジア新興国等の海外で生み出す研究開発成果について適切に保護される環境を整備する必要がある。 PCT国際出願制度においては、海外で受理されたPCT国際出願について日本国特許庁が国際調査機関として管轄する場合、出願人の希望により、日本国特許庁が当該PCT国際出願に関する国際調査報告を作成することが可能である。この国際調査報告の提供を通じて日本国特許庁による先行技術文献調査の結果を世界各国へ発信可能であり、これは我が国企業等が海外で安定した権利を得られる環境の実現に寄与すると考えられる。 このような背景から、日本国特許庁は、国際調査機関として国際調査報告を作成し提供可能となるよう、アジア新興国等を中心に積極的に管轄の対象拡大を進めてきた。現在では、米国及び韓国(日本語出願)に加え、ASEANにおいてPCTに加盟している9か国全ての国の国民又は居住者によるPCT国際出願に対して、国際調査報告を作成することが可能となっている。米国で受理されるPCT国際出願については、従来日本国特許庁を国際調査機関として選択することができる技術分野が制限されていたが、2018年7月よりこの制限が撤廃され、すべての技術分野の出願について日本国特許庁が国際調査報告を作成することが可能となった。 今後も、日本国特許庁がPCTに基づく国際調査機関として質の高い先行技術文献調査の結果を国際的に発信することにより、国際的な権利取得を目指す出願人が安定した権利を得ることができる環境整備に貢献していく。2-2-16図 日本国特許庁によるPCT国際出願の国際調査の管轄状況(2019年3月現在)米国2015年7月1日開始インドネシア2013年6月1日開始韓国(日本語出願のみ)フィリピン2002年1月1日開始カンボジア2016年12月8日開始ブルネイ2015年10月1日開始ベトナム2012年7月1日開始ラオス2016年1月1日開始シンガポール2012年12月1日開始マレーシア2013年4月1日開始タイ2010年4月15日開始
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