特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版114第2章特許における取組(1)標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き 2018年6月に「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」を公表した2。本手引きでは、(i)交渉の各段階において当事者が提供すべき情報の範囲や応答期間についての考慮要素、(ii)サプライチェーン内のどのレベルの主体(最終製品メーカー、部品メーカーなど)がライセンス契約の締結主体になるべきかについての考慮要素、(iii)ロイヤルティの算定の基礎(部品の価格、最終製品の価格など)をどのように決定すべきかについての考慮要素、(iv)同一の技術が異なる用途で使用されている場合に、異なったライセンス料率や額を適用することが差別的かどうかについての考慮要素、といった論点について整理している[2-2-17図]。 また、標準必須特許に関する判例等は各国で継続的に示されていることから、「標準必須特許のライセンス交渉に関する手引き」公表以降の各国の判例や公的機関の見解等を調査し、2019年4月に公表した3。4.標準必須特許に関する取り組み 通信規格等の標準規格の実施に不可欠な特許である「標準必須特許(SEP)」をめぐる紛争が注目されている。こうした中、特許庁は、SEPをめぐる紛争の未然防止及び早期解決を図るため、SEPのライセンス交渉に関する手引きの策定や標準必須性に係る判断のための判定の実施に向けた取組を進めている。2018年10月には、標準必須特許に関する特許庁の取組みに効率的にアクセスできるよう、標準必須特許ポータルサイトをリリースした1。本節では、SEPに関する取組を紹介する。1 https://www.jpo.go.jp/support/general/sep_portal/index.html2 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/seps-tebiki.html3 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/ zaisanken-seidomondai/2018_10_youyaku.pdf3212-2-17図 標準必須特許のライセンス交渉に関する手引きにおける主要な論点

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