特許行政年次報告書 2019年版
147/356

特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版117第3章 特許庁は、2017年7月に経済産業省と合同で「産業競争力とデザインを考える研究会」を立ち上げ、2018年5月23日に報告書「『デザイン経営』宣言」を取りまとめ、公表した。本報告書では、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する「デザイン経営」の手法及び効果、並びに、「デザイン経営」を推進するための政策提言が整理されている。本報告書の政策提言を受け、特許庁は、新技術による社会変革に対応1.デザイン経営を推進するための取組したデザインやブランド形成に資するデザインを保護するための意匠制度の見直し1や、使いやすい意匠制度の実現のための基準改訂2を行った。また、「デザイン経営」の推進のために、「デザイン経営と意匠制度の未来」をテーマとした日中韓デザインフォーラム3を開催した他、特許庁自身による「デザイン経営」の実践4及び、知財功労賞における「デザイン経営」にスポットライトを当てた新たな表彰5を開始した。 製品の同質化(コモディティ化)が急速に進み、機能や品質のみで、他者製品を凌駕するだけの差別化を図ることが困難な今日、米アップル社や英ダイソン社をはじめとする欧米企業は、デザインによって新しい価値を創造し、イノベーションを創出するとともに、自社独自の強みや技術、イメージをブランド・アイデンティティとしてデザインによって表現することで、製品の価値を高め、世界的な市場拡大に結び付けている。 このように、近年、激化するグローバル競争において、経営手段としてのデザインの重要性に対する認識が高まり、我が国においても、デザインによって製品やサービスの価値を高め、ブランド構築に尽力する企業が出現しはじめる中、我が国企業が優れたデザインを迅速かつ効果的に権利化し、利益を正当に確保できるよう、国際調和を見据えた意匠制度・運用の見直しや、品質の向上に向けた取組を推し進める必要がある。 本章では、このような状況に対応するため、特許庁が実施してきた主な取組について紹介する。意匠における取組第3章1 第2部第10章1.(2)2 第2部第3章2.3 第3部第2章1.(5)③4 第2部第6章5 第2部第9章2.2-3-1図 「デザイン経営」の効果ブランド構築に資するデザインイノベーションに資するデザイン「デザイン経営」の効果

元のページ  ../index.html#147

このブックを見る