特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版124第4章商標における取組(1)2018年度商標審査基準及び商標審査便覧の改訂 2018年度は、社会情勢や商取引を取り巻く環境の変化、さらに2017年度に特許庁が行った商標審査の質に関するユーザー評価調査報告書の結果をふまえ、商標審査基準においては、識別力に関する更なる基準の明確化(商標法第3条第1項第3号)、元号を表示する商標(商標法第3条第1項第6号)、品種登録を阻害する目的がある悪意の商標登録出願(商標法第4条第1項第7号)等について見直しを行った。商標審査便覧においては、審査手続きの中止について項目の新設(20.04)、出願人の同一認定に関する取扱いの改訂(42.111.01)等を行った。(2)改訂等の概要①商標審査基準について(ア)識別力に関する更なる基準の明確化 出願された商標について、取引者又は需要者が商品又は役務の特徴を表示するものとして一般に認識する場合は商標法第3条第1項第3号に該当する旨を明記した。 また、「一般に認識する場合」とは、その商標が商品又は役務の特徴等を表示するものとして現1.商標審査基準及び商標審査便覧の改訂実に用いられていることを要するものではない旨を併せて明記した。(イ)元号を表示する商標 現元号のみならず、出願された商標が元号として認識されるにすぎないものである場合は、識別力を有しないものとして、商標法第3条第1項第6号に該当する旨を明記した。(ウ)品種登録を阻害する目的がある悪意の商標登録出願 品種登録を阻害する目的がある悪意の商標登録出願について、商標法第4条第1項第7号に該当する例として、新たに追加した。②商標審査便覧について(ア)「審査手続の中止(20.04)」についての新設 係属中の異議の申立て、審判又は裁判の結果により拒絶の理由に影響があると判断される商標登録出願であって、審査において必要があると認めるときは、異議決定若しくは審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまで審査の手続を中止できる取扱いを明確にした。 昨今、経済のグローバル化や、インターネットの急速な普及等による商品や役務の販売戦略の多様化、我が国産業の競争力強化の観点から、商標が果たすべき役割が大きくなってきている。また、経済社会や商取引を取り巻く環境が目まぐるしく変化することにより、商標を取り巻く状況は日々変化している。特許庁では、そうした実情に対応し、適切な商標の保護や制度利用者の利便性向上のため、様々な取組を行っている。 本章では、1.商標審査基準及び商標審査便覧の改訂、2.商品・役務の分類に関する取組、3.商標の国際登録制度に関する取組、4.地域団体商標に関する取組、5.商標審査の品質管理、6.商標の早期権利化ニーズに応えるための制度(商標早期審査・ファストトラック審査)について紹介する。商標における取組第4章

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