特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版142第6章特許庁におけるデザイン経営の取組①ユーザー・インタビューa. インタビュー対象の選定 「誰」が「何」に困っているか?という視点から、ユーザー仮説と課題仮説を設定し、インタビュー対象を選定した。b. インタビュー項目の準備 貴重なインタビューの機会を最大限に生かすため、事前に聞き出したいことを書き出した。c. インタビューの実行 インタビューは、深い情報を得られるように1時間程度の時間を設定した。インタビューする者と記録する者は別にし、インタビューする者がユーザーとの対話に集中できるようにした。d. まとめ インタビューの記憶が鮮明なうちに振り返り、メモでは落ちてしまいがちな文脈も記録するよう心掛けた。②課題の発見~解決策の発案a. インタビュー結果の統合 インタビューで得られたユーザーの発言を、KJ法を用いてグループ化し、情報を整理・分類し、分析した。b. ユーザー像の作成と共感 インタビューを統合・分析して導いた、具体的なターゲットユーザー像を作成した。ユーザーの行動や価値観、ニーズ・課題に共感した。c. カスタマー・ジャーニー・マップの作成 ユーザーが達成したいゴールまでのプロセスを一連のものとして捉えた「カスタマー・ジャーニー・マップ」を描き、様々な状況でユーザーが抱く感情を列挙した。d. 課題後の定義 マップから抽出されたユーザーの課題の中から、より根本の原因に近いと思われるものを、解決策を考えるべき課題として絞り込み込んだ。e. 課題解決策の着眼 定義した課題に対して、「自分たちができることは何か?」という視点で、ブレインストーミングを行い、まずは着想を発散させた。突拍子もない着想でもすぐに否定せず、多様な意見を認めることで、普段の業務では出てこない斬新な着想が得られた。③解決策の試作品作りa. 解決策を仮定する 発散させた多くの着想の中から、ユーザーの課題を本当に解決するものは何か、設定したユーザーに最も届きやすい手段は何かを検討し、解決策を絞り込んだ。b. とりあえず形にしてみる 仮定した解決策に対して具体的な反応を得られるよう、試作品を作った。それが難しいチームは、とりあえず、スケッチや絵コンテで表現した。c. 自分たちで試してみる 作成した試作品を、ユーザーに見せる前に、チームのメンバーで自ら試し、改良ポイントを探した。当初は想定できなかった課題を発見することもできた。d. 改善を重ねる そこで気づいた改良点は、すぐに次の試作品に反映させた。それをまた自ら試してみるというプロセスを重ねることで、解決策の精度が上がっていった。④ユーザーとの検証a. ユーザーの選定 テストでは、設定したユーザーに近い対象を選定した。b. 検証の実施 解決策の試作品をユーザーに示し、良い点、悪い点、また、実際に使いたいと思うか、など、具体的な意見を聴取した。c. まとめ ユーザーから得られた反応を整理・分析することで、ユーザーのより深いニーズに対する気付きが得た。d. 解決策のブラッシュアップ ユーザーから得られた気づきを、解決策とその試作品に反映し、継続的に検証と改善を繰り返した。⑤繰り返す 解決策の創出は、観察・仮説構築・試作・再仮説構築の反復を行うアジャイル型の開発プロセスで実行した[2-6-3図]。 ユーザーに受け入れられなかった場合は、受け入れられる解決策にたどり着けるよう、プロセスを繰り返した。2-6-3図 アジャイル型の開発プロセスユーザーへのインタビューユーザーとの検証課題の発見〜解決策の発案解決策の試作品作り

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