特許行政年次報告書 2019年版
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特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版143第6章(1)UI(ユーザーインターフェイス)チーム①「拒絶理由通知」でのつまずきをスマホで解消するサポート 拒絶理由通知にQRコードを付与し、ユーザーの思考の流れに沿って対応方法をわかりやく紹介するサポートページに容易にアクセスできるよう、ユーザーが拒絶理由通知に対応しやすくなる解決策を考案した。②知財情報を一元管理できるウェブサイトを提供 多くの企業で行われている紙やエクセルベースの属人的な知財管理を開放し、自社の知財の状況をオンラインで一元管理できるウェブサイトを考案した。このウェブサイトにより、知財担当者が変わっても、継続的に自社の知財を維持できる。競合他社の出願動向を得られる「ウォッチリスト機能」、自社の出願に関する情報の履歴を保存し、共有するための「メモ機能」など、今後多様なサービスを拡充し、包括的な知財管理プラットフォームへの発展も構想した。(2)海外チーム①海外出願人のニーズに沿った施策を生み出す新プロジェクト 欧米からの出願人対応に特化した担当チームを編成し、単一の解決策ではなく、ユーザーとの対話を深めながらユーザーの様々な課題を解決する包括的な取組みを始めた。情報発信のための媒体や内容を工夫し、様々な対話の機会を設けるなど、あらゆる接点で、海外出願人の課題やニーズに寄り添ったサービスを検討した。②テクノロジーで出願コストを削減 特許出願の最初に必要となる膨大なページ数の「明細書」の翻訳の要否に着目した。 まずは機械翻訳に関して、ユーザーを巻き込みつつ精度を向上させるアイデアを提案した。また、機械翻訳の精度向上が実現することを条件として、必要な時に必要な書類だけ翻訳を義務づける制度を導入することも提案した。(3)国内スタートアップチーム①知財人材のプロボノ・副業支援 会員限定の人材マッチング 特許庁は、2018年12月「スタートアップ知財戦略」のためのポータルサイト“IP BASE”を開設した。情報支援を開始したが、今回発見したユーザー課題は「スタートアップを理解する知財人材に出会えない」ことだった。そこで、企業内の知財人材や弁理士のプロボノ、副業の活性を促した上で、知財人材とマッチングできる会員限定サービスを企画した。スタートアップの育成支援プログラム「J-Startup」との連携も行った。(4)国内中小・ものづくりチーム①事業転換を狙うものづくり企業に特許庁の知財戦略チームを派遣 技術を活かした新規事業に乗り出す情熱と、地域をけん引する使命感を持つ中小企業経営者を対象として設定した。彼らの課題は、「新事業の構想はあるが、連携する関係者との間で戦略の共有が難しい」「新事業の構想実現に必要な資金調達に苦労する」というものだった。 そこで、特許庁に知財戦略支援の新チームを組成し、彼らの戦略会議に出向き、事業構想を裏付ける知財戦略面についてアドバイスを行うサービスを提案した。併せて、支援を通じて得られた課題から新たな施策立案に繋げるとともに、成功事例の周知によって、他の中小企業の知財活動や金融機関、支援機関における知財に着目した中小企業支援を触発することで、ものづくり中小企業全体の活性化を狙った。3.得られた成果

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