特許行政年次報告書2019年版144第6章特許庁におけるデザイン経営の取組(5)国内サービス・ブランディングチーム①知財に無関心な経営者にも届く商標未取得リスクの啓発動画 ターゲットは、安心してビジネスを続けられることを願う、中小企業の経営者とした。発見した課題は、「知財について身近に相談できる人がおらず孤独を抱えている」、「特許庁のHPは難しそうだから見にいかない」ことだった。加えて、これまでの特許庁の広報では、知財に無関心な層に届きにくいことに気づいた。このため、経営者や周りの家族がスマホで視聴し、SNSで共有できる啓発動画を企画した。この啓発動画は、商標を取得しないことによるリスクを視聴者に気づかせることを目的としている。また、わかりやすく情報提供する特設サイトの開設も検討している。(6)広報チーム①こども向けイベントのプログラムと業者への発注・開発工程を刷新 毎年夏に実施している「特許庁こども見学デー」を、これまでの「知財を伝える」という切り口ではなく、「創造性の本質を伝える」という切り口に刷新した。 「こども見学デー」の企画内容に今回把握できたユーザーの真の願望を反映するほか、イベントの前後にもこどもたちとのコミュニケーションを継続するための仕掛けを検討している。併せて業者への発注・開発プロセスも刷新し、特許庁と業者の共創によって企画を作り上げる。 これまで特許庁視点で仕様書を作成し、入札によって選定された業者の企画提案をもとに組み立てていたイベントの発注~開発工程に、ユーザーの視点を取り入れることに挑戦する。 仕様書にインタビューで発見したユーザーの真の願望や課題を反映しただけでなく、業者決定後にも特許庁と業者で共創することを盛り込み、開発工程においてもユーザー・インタビューや検証を実施することとした。ユーザー視点を徹底するためのプロセスの刷新である。
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