特許行政年次報告書2019年版148第7章情報システムにおける取組(1)優先権書類の電子的交換(特許及び実用新案) 出願人が優先権主張を伴い海外へ出願するためには、原則、優先権書類の紙書面の提出が必要となるが、日本国特許庁は、欧州特許庁、韓国特許庁及び台湾智慧財産局と二庁間での優先権書類の電子的交換(二庁間PDX)を行っており、出願人は、これらの庁に対する優先権書類の紙書面の提出を省略することができる[2-7-3図]。 また、複数の特許庁・機関に出願する際の手続を簡略化するため、2009年4月から世界知的所有権機関(WIPO)の「デジタルアクセスサービス(DAS)」が開始されている。日本国特許庁は、DASの利点に鑑み二庁間PDXからDASへの一本化を推進しており、2018年12月には、欧州特許庁及び韓国特許庁との間で、従来の二庁間PDXと並行して、DASを利用した優先権書類の電子的交換が開始された[2-7-3図]。 今後も、ユーザーニーズを踏まえつつ、DAS参加庁の増加及び更なるサービスの改善に向けた取組を推進していく。(2)グローバル・ドシエ 「グローバル・ドシエ」とは、2012年6月の五庁長官会合において、日本国特許庁と米国特許商標庁とが共同提案したものであり、各国特許庁のシステムを連携させ、各国特許庁が有する特許出願の手続や審査に関連する情報(ドシエ情報)の一般ユーザーとの共有や新たなITサービスの実現を目指す構想である。五庁と各国の産業界とが共同してグローバル・ドシエ・タスクフォース1を構成し、取組を推進している。①ドシエ情報の共有の取組 企業活動のグローバル化に伴い、複数の国・地域に同一発明の出願がなされている。このような状況下において、審査の効率化を図るために、各国特許庁のドシエ情報を各国審査官が相互参照可能とするシステムの整備が必要とされている。 そこで、日本国特許庁の主導により、複数庁に出願された同一発明のドシエ情報を一括で提供するサービスである「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)」を、2013年7月に五庁の審査官を対象として開始した。1 グローバル・ドシエのプロジェクトにユーザーニーズが反映されるよう、五庁及びWIPOの実務者と五庁ユーザー団体の実務者で構成された検討体。2-7-3図 優先権書類の電子的交換の対象庁(2019年5月現在)二庁間PDXDAS
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