特許行政年次報告書 2019年版
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特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版151第8章1.スタートアップへの支援多様なユーザーへの支援・施策第8章(1) スタートアップへの支援施策①知財アクセラレーションプログラム(IPAS) ベンチャー企業にとっては、革新的な技術やアイディアを知的財産で適切に保護しておくことが必要であるが、創業期における多くのベンチャー企業は、資金調達などビジネスの立ち上げに手一杯で、知的財産への対応は後手になっている。 そこで、創業期のベンチャー企業を対象に、ビジネスコンサルタントなどのビジネスの専門家と、知 産業構造や社会の変革が急速に進む中、ベンチャー企業(スタートアップ)には、破壊的イノベーションにより産業の新陳代謝を促し、大企業・中堅企業との連携によるオープンイノベーションのけん引役として、我が国の経済発展を将来にわたり支えていくことが期待されている。政府全体としても、2016年4月に日本経済再生本部が「ベンチャー・チャレンジ2020」を取りまとめ、ベンチャー・エコシステムの構築に向けて政府一体となって取り組んでいるところである。 革新的な技術やアイディアをもとに創業するベンチャー企業にとっては、その技術・アイディア自体が財産となるため、権利化・ノウハウ化やライセンスなどの方針や体制を整備する「知財戦略」に意識して取り組むことが求められる。しかしながら、創業前に知財戦略を構築しているベンチャー企業は約2割に留まるなど[2-8-1図]、知的財産の重要性がベンチャー企業に十分浸透しているとはいい難い。また、ベンチャー企業の他に投資家やアクセラレータなどから構成されるベンチャー・エコシステムへの知財専門家の関与は十分とはいえない。 以上のような認識のもと、特許庁では、これまでの中小企業施策全体における「中小・ベンチャー企業」としての取り扱いを改め、ベンチャー企業に対してさらに支援を強化するため、2018年7月にベンチャー支援班を正式に立ち上げた。ベンチャー企業に対して知財に関する情報を的確に発信し、知財意識の向上を図るとともに、ベンチャー企業特有の知財面の課題を解決すべく各種施策を実施していく。 本節では、特許庁のベンチャー企業向けの支援施策について紹介する。0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%医薬・バイオIT機械、電気・電子、IT、その他(n=185)(n=42)(n=31)21.1%11.9%45.2%54.8%78.9%88.1%「創業前」に知的財産が経営戦略に組み込まれている「創業前」に知的財産が経営戦略に組み込まれていない2-8-1図 知的財産を経営戦略に組み込んだ時期(備考)「機械、電気・電子、IT、その他」には、「医薬・バイオ」は含まれない。(資料)平成29年度特許庁制度問題調査研究「スタートアップが直面する知的財産の課題および支援策の在り方に関する調査研究」

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