特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版153第8章③日本発知財活用ビジネス化支援(ジェトロ・イノベーション・プログラム) 特許庁では、JETROに対する補助金事業として、日本で産業財産権を保有している日本の中堅・中小・ベンチャー企業を対象に、シリコンバレーや深圳など、世界有数のベンチャー・エコシステムを擁する地域で開催される大型展示会へのブース出展、ビジネス・マッチングイベントへの参加を支援し、海外展開を促進する事業を2015年度から行ってきた。 2018年度は、シリコンバレー、深圳、ASE-AN、ベルリンにおいて実施した。2019年度も、シリコンバレー、深圳、ASEAN(タイ)において実施予定である。1④スタートアップに対する料金の軽減制度 一定の要件を満たすスタートアップの特許出願については、特許庁へ支払う手数料の一部を軽減する制度が利用可能である。【対象者】 ・設立後10年未満で資本金額又は出資総額が3億円以下の法人であること ・大企業(資本金額又は出資総額が3億円以下の法人以外の法人)に支配されていないこと【軽減措置の内容(国内出願)2】 ・審査請求料1/3に軽減 ・特許料(第1年分から第10年分)1/3に軽減【軽減措置の内容(国際出願)3】 ・送付手数料・調査手数料1/3に軽減 ・予備審査手数料1/3に軽減 ・PCT国際出願手数料・取扱手数料1/3に軽減(2/3に相当する額の交付)(2) スタートアップと知財のコミュニティ構築に向けて スタートアップにとっては、知財はハードルが高く、対応が後回しになりがちであるため、知財戦略構築に向けて具体的に動き出すためには何らかのきっかけが必要である。しかしながら、スタートアップが普段コミュニケーションをとるコミュニティに弁理士などの知財の専門家が十分入り込めていないことや、知財戦略の重要性を十分に理解している投資家が多くないこと等の理由から、そのようなきっかけに遭遇しにくいのが現状である。特許庁では、スタートアップと知財の距離を縮め、スタートアップが知財に取り組むきっかけとなるよう、スタートアップ向け知財コミュニティの構築を推進している。①スタートアップ向けのイベント・セミナーの実施 スタートアップ向けのイベント・セミナーの企画を通じて、スタートアップに対して普及啓発を行うとともに、実際に知財の専門家に出会える機会を創出している。2018年度は、スタートアップや知財専門家等が参加するイベント・セミナーを計36回、スタートアップが集中する東京を中心に、大阪、福岡等の地方都市でも実施した。②知財ポータルサイト“IP BASE”の開設 2018年12月には、スタートアップが「まず見るサイト」、知財専門家と「つながるサイト」を目指した知財ポータルサイト“IP BASE”を新たに開設した4。ここでは、先輩CEOのインタビュー記事など、スタートアップの知財意識向上を図るための魅力的なコンテンツを掲載するとともに、スタートアップ支援を行う知財専門家の検索機能などを実装する予定である[2-8-3図]。1 日本発知財活用ビジネス化支援(ジェトロ・イノベーション・プログラム)について https://www.jetro.go.jp/services/innovation.html2 国内出願の減免制度について https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/genmen/genmen20190401/index.html3 国際出願の軽減制度について https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/pct_keigen_shinsei.html4 IP BASE https://ipbase.go.jp/2134
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