特許行政年次報告書 2019年版
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特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版157第8章ビジネスの攻守に力を発揮する特許戦略――ビジネスを成長させるうえで、特許の意味をどのようにお考えですか。溝口 「守り」と「攻め」の両面があります。守りというのは、自分たちがやりたいことをおかしな理由で邪魔されたくないということ。参入障壁にしようという気持ちがまったくないとはいえませんが、誰かに足を引っ張られるような事態を避けたいという思いが強いですね。 一方の攻めは、自分たちの強みをわかりやすく示すことです。FiNCには優れたソフトウエアやエンジニアチーム、ユーザー層の厚みなどいくつかの強みがありますが、特許も大きな柱の一つです。アライアンスパートナーに対して、FiNCという会社を理解していただく際にも、とても有効だと感じています。――いま、フィットネスやヘルスケアのビジネスには、大手をはじめさまざまな企業が参入しようとしています。溝口 参入を検討する際には、「自前かアライアンスか」「アライアンスの場合、どこと組むべきか」といった議論が社内で行われるのではないかと思います。大企業であればさまざまなステークホルダーがいて、意見の集約にも相当な時間とエネルギーが必要です。 こうしたプロセスをFiNC側から見れば、その企業が競合相手になるか協業相手になるかで整理できます。その企業がFiNCとの協業を選ぶとすれば、特許は重要な説得材料になり、協業相手が組織内でのコンセンサス形成に要する時間を短縮する効果があるでしょう。――大企業から見て、FiNCのようなスタートアップと組むメリットはどのようなものだとお考えですか。溝口 日本には素晴らしい技術を持つメーカーがたくさんあります。そうしたメーカーの多くが、サービスへのシフトを目指しています。つまり、「モノからコトへ」ということです。ただ、モノづくりに強い企業でも、"コト"のデザインが得意とは限りません。そこで、私たちのような企業が求められているのでしょう。コトや体験をデザインするうえで、当社の持つテクノロジーや知財は欠かせない要素です。――新たなテクノロジーによって、以前は諦めていた課題が解決可能になっています。溝口 スマホに代表される新しいデバイス、AIやブロックチェーンなどの新しいテクノロジーによって、多くの課題への解決策が見出されて溝口勇児(みぞぐち・ゆうじ) 高校在学中からトレーナーとして活動。今日までプロ野球選手やプロバスケットボール選手、芸能人など、延べ数百人を超えるトップアスリートおよび著名人のカラダ作りに携わる。NSPAトレーナーコース修了。トレーナーとしてのみならず、業界最年少コンサルタントとして、数多くの新規事業の立ち上げに携わり、また数々の業績不振企業の再建を担う。再建を託された企業に関しては、そのすべてを史上最高業績へと導く。2012年4月にFiNCを創業。一般社団法人アンチエイジング学会理事。日経ビジネス「若手社長が選ぶベスト社長」に選出、「ニッポンの明日を創る30人」に選出。WIRED INNOVATION AWARD2018イノヴェイター20人。

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