特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版159第8章う強い気持ちで取り組むことです。 第二に、相手の立場で考えること。相手が顧客のときもあれば、社内の他部門やパートナー企業のときもあります。また、競合相手の視点で考えるべき場面もあるでしょう。特許に関していえば、「もしかしたら、相手はこういう手法でFiNCへの特許権侵害を避けようと考えるかもしれない」と想像してみる。そうした姿勢が、抜け穴のない特許申請につながります。 第三に、自分のことを客観視する力です。100の話を聞いたとき、50しかわかっていないのに100を理解したつもりになる人もいます。これでは、自分を客観的にとらえたことになりません。自分は何を理解しているのか、何を理解してないのかを正しく切り分ける能力はきわめて重要だと思います。――今後、どのようにしてさらなる成長を目指していきたいとお考えですか。溝口 ビジネスの現場では、「どうやって競合相手に勝つか」という思考に陥りがちです。そうではなく、いろいろなプレーヤーを巻き込みながらよりよい社会づくりに貢献したい、と私は考えています。ただ、他者を巻き込むためには、圧倒的な強みが必要です。特許を含めて、自分たちの強みをさらに磨いていきたいと考えています。――溝口さんは他のスタートアップとの交流に積極的だと聞きました。溝口 休日などを使って、若手の起業家たちとよく話をしています。特許の相談を受けることも多いですね。特許の出願をサポートすることもあります。さまざまなビジネス領域の話を聞くと、特許については大きなチャンスが残されているように感じます。少なくともフィットネスやヘルスケアの分野には、かなりの可能性、いわばホワイトスペースが広がっています。ハードウエアとソフトウエア、あるいはサービスなどを掛け合わせれば、そこには新たな知財空間が広がっているかもしれません。(構成・文/津田浩司)「カラダのすべてを、ひとつのアプリで。」をキャッチフレーズにしたスマホアプリ「FiNC」を提供。記録した歩数や体重、睡眠などのデータに応じて専属のパーソナルトレーナーAIが美容・健康面でのアドバイスをしてくれる。2018年には、撮影した食事メニューからカロリーを自動的に計算する「食事画像認識機能」の提供も開始(右下)。都内5カ所でフィットネスジムも展開している(右上)●FiNC Technologiesが提供しているサービス
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