特許行政年次報告書2019年版xvi 平成のヒット商品と知財の関係について、携帯電話機の通信システムの進化に注目して見てみよう。図3-1は、2Gについては移動無線通信システムにおける時分割多重伝送方式のFターム分類として5K067CC04が付与されている特許出願件数の推移を示し、3Gについては移動無線通信システムにおけるスペクトル拡散伝送方式のFターム分類として5K067CC10が付与されている特許出願件数の推移を示し、4Gについては直行多重化方式のFI分類としてH04J11/00が付与されつつ、移動無線通信システムのFターム分類として5K067が付与されている特許出願件数の推移を示したグラフである。 特許出願件数の推移とヒット商品との相関について分析してみると、2Gに関する特許出願件数(図3-1の青線グラフ)はNTTドコモがデジタル方式による第2世代移動通信システム「デジタルmova」を用いた携帯電話サービスを開始する直前の平成5年までは堅調に増加し、携帯電話機向けIP接続サービス「iモード」のサービスが開始される平成11年ごろにまでにピークが表れていることが見てとれる。2Gの特許出願に関してはその後も緩やかな増減を見せている一方で、3Gに関する特許出願(図3-1のオレンジグラフ)はNTTドコモが3Gの通信規格であるFOMAサービスを開始する平成13年の直前である平成12年にピークがあることが見て取れる。4Gの特許出願(図3-1の緑線グラフ)に関しては、NTTドコモによるLTE(Long Term Evolution)と呼ばれる3.9世代のサービスが開始される平成22年にピークが表れていることが見て取れる。 上記のとおり、特許出願件数のピークの流れから通信システムの進化を読み解くことができ、来年度から商用サービスが開始される第5世代の移動通信システム(5G)に関する特許出願が今後は増えていくことが予測される。なお、本統計データは、特許庁のデータベースから公開後の特許出願のみを抽出しているため、現時点で5Gに関する特許出願が増大している可能性があることは留意されたい。平成ヒット商品と特許出願データとの相関の分析携帯電話機編020040060080010001200235678910111213141516171819202122232425262728293031平成元年(年)(件)4デジタルmovaサービス開始2G3G4GXi(クロッシィ)サービス開始FOMAサービス開始iモードサービス開始図3-1 2G~4Gの移動無線通信システムの特許出願件数冒頭特集
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