特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版163第8章(3) 企業の海外展開における費用面の支援①中小企業に対する外国出願支援1 経済のグローバル化に伴い、中小企業においても海外進出が進んでいるが、海外市場での販路開拓や模倣被害への対策には、進出先において特許権や商標権等を取得すること等が極めて重要である。しかし、海外での権利取得には多額の費用がかかり、資力に乏しい中小企業にとっては大きな負担となっている。 特許庁では2008年度から中小企業の戦略的な外国出願を促進するため、外国への事業展開等を計画している中小企業に対して外国出願に要する費用の一部を補助している。2014年度からは、従来の地域実施機関としての都道府県等中小企業支援センター2のほか、新たに全国実施機関として独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)を補助事業者に加え、すべての都道府県の中小企業に対し、支援可能な状況である。2018年度は48地域の都道府県等中小企業支援センター等及びJETROで実施し、878件(前年度比106%増)を支援した。〔事業内容〕 ○補助率:2分の1以内 ○補助額: 1企業に対する上限額: 300万円(複数案件の場合) 案件ごとの上限額: 特許150万円、実用新案・意匠・商標60万円、冒認対策商標330万円○補助対象経費: 外国特許庁への出願料、国内・現地代理人費用、翻訳費用等②中小企業に対する知的財産侵害対策4 経済のグローバル化とアジア地域の経済発展に伴い、特にアジア地域において日本企業の商品の模倣品が製造され、世界中で被害が報告されている。模倣品の氾濫は、消費者に対するブランド・イメージの低下や製品の安全性の問題等、企業に悪影響をもたらすおそれがあり、対策を講ずることが極めて重要である。特許庁では2014年度5から、中小企業の海外での適時適切な権利行使を促進するため、JETROを通じて、海外で取得した特許・商標等の侵害を受けている中小企業に対し、模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査、調査結果に基づく模倣品業者への警告文作成、行政摘発までを実施し、その費用の一部を助成している。2018年度は23件を採択した。 2015年度から、海外で冒認出願され取得された権利等に基づいて中小企業等が知的財産侵害で訴えられた場合等の弁護士への相談や訴訟準備・訴訟に係る費用の一部を助成する防衛型侵害対策を実施し、2018年度は2件を採択した。また、 2016年度からは、新たに海外でブランド名等を悪意の第三者により先取出願された場合の、当該商標の無効・取消係争に要する費用の一部を助成する冒認商標無効・取消係争支援を実施し、2018年度は29件を採択した。■模倣品の調査、模倣品業者への対策費用に関する支援(模倣品対策支援事業)〔事業内容〕 ○補助率:3分の2 ○上限額:400万円 ○補助対象経費: 現地侵害調査費、模倣品業者への警告文作成費、行政摘発費用等 ※2016年度からは税関登録に要する費用も含む1 お問い合わせ先等その他詳細な情報は下記ウェブサイト参照 https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html2 中小企業支援法(昭和38年法律第147号)第7条第1項の規定による指定法人。指定法人数は全国60か所で、都道府県及び同法施行令第2条に掲げられている政令市に設置。3 冒認対策商標:悪意の第三者による先取出願(冒認出願)の対策を目的とした商標出願。4 お問い合わせ先等その他詳細な情報は下記ウェブサイト参照 https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_kaigaishingai.html5 2005年度から2013年度まで、中小企業庁の中小企業海外展開等支援事業費補助金(中小企業知的財産権保護対策事業)として模倣品に関する侵害調査に係る費用の一部を助成する事業を実施。2014年度からは侵害調査及び調査結果に基づく模倣品業者への警告文作成、行政摘発費用を支援対象に加え、特許庁で実施。14
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