特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版165第8章(4) 金融機関の取引先企業の価値向上に向けて―中小企業知財金融促進事業の進展―1 金融機関による、取引先企業が保有する知的財産の理解を切り口とした融資やビジネスへの支援は、中小企業における知的財産への取組意識を高め、知的財産活用の裾野の拡大につながる。また、中小企業からは、特許等の知的財産を金融機関に正しく理解してもらい、資金調達やビジネス拡大に向けた相談につなげたいとの期待がある一方で、金融機関には中小企業の知的財産を活用したビジネスについて適切に理解しアドバイスできる人材が不足している現状がある。 そこで特許庁では、金融機関が取引先企業の知的財産に着目し、その企業の事業・経営支援を行う取組(知財金融)を、「中小企業知財金融促進事業」を通じて支援してきた[2-8-5図]。〈支援スキーム〉 ・知財ビジネス評価書の提供:中小企業の知的財産を活用したビジネスを評価した評価書を専門機関が作成し、金融機関に提供する。2018年度は、150件提供。 ・伴走型支援:知財専門家を金融機関に派遣し、知財を切り口とした事業理解や成長支援の枠組みを金融機関内に構築する。2018年度は、18金融機関を支援。 ・普及啓発・人材育成:金融機関職員向けのマニュアルの提供や、研修・フォーラムを開催。2018年度は、3種類のマニュアルを提供し、研修・フォーラムを4回開催。 この事業は、2014年度の試行を経て2015年度から実施しており、地域金融機関における全ての業態において「知財金融」が浸透した(コラム8参照)。 2019年度は、金融機関からの「取引先企業の経営支援(本業支援)を通じて取引先企業の価値を高め、資金需要を創出したい」とのニーズの高まりに応えるため、上記事業に代えて「中小企業知財経営支援金融機能活用促進事業」を実施し、知財ビジネス評価で見える化した経営課題に対する解決案を「提案」としてまとめた「知財ビジネス提案書」の提供を開始し、地域の中小企業支援により注力した事業を進める。金融機関等与信判断・本業支援に活用特許庁の受託事業者提携調査会社(複数)ヒアリング中小企業クライアントである中小企業の評価の申請伴走型支援普及啓発・人材育成3評価書提出金融機関の事業理解・本業支援スキームを見直しマニュアルの提供・研修の実施など評価書提出評価の指示&評価書作成費1 詳細は「知財金融ポータルサイト」を参照。https://chizai-kinyu.go.jp/12-8-5図 中小企業知財金融促進事業における3つの支援スキーム
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