特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版169第8章位置づけたのは、知財活用支援施策として大きな転換であり、実証的な取組を含め様々な取組を実施し、さらに施策の絞り込み・発展へとブラッシュアップを進めてきたことも特徴としてあげられる。 こうした施策を継続して展開し、幅広い知見を蓄積・活用してきたことの成果として、地域・中小企業の知的財産に対する意識向上や事業活動に好影響をもたらしてきたことが、本調査から確認できた[下表参照]。 「令和」という、新しい時代における知財活用を広く伝播させ、企業活動に不可欠なものとするために、様々な取組を通じて、イノベーションの担い手である地域・中小企業を支えていく。1 「従前と同様の内容」とは、本報告書における調査結果によると、①知財活用について意識を持っていない中小企業等が依然として多い、②知財経営の実践が進んでいるが、一部の企業にとどまっている、等があげられる。表 地域・中小企業向け知財活用支援施策の成果(調査結果から抜粋)2018年度『中小企業の知的財産活動に関する基本調査』より本調査は以下3つの調査を実施 ・データ分析調査 ・アンケート調査 ・ヒアリング調査✓ 中小企業における知的財産の活用について、各段階を経て着実な進展が確認された。✓ 情報ツール・マニュアル類の作成や訪問型支援・伴走型支援の拡充を通して、知的財産と経営の関係を意識する経営者が増加したことは、平成後半の取組の成果である。✓ ただし、解決を図るべき課題に対する認識は従前と同様の内容1を挙げる経営者も多く、こうした課題解決が今後も重要である。平成三一年(2019年)5月1日 新元号 令和へ平成三十年(2018年)大阪府北部地震平成二九年(2017年)天皇退位特例法平成二八年(2016年)熊本地震平成二七年(2015年)TPP大筋合意平成二六年(2014年)産業競争力強化法平成二五年(2013年)日本再興戦略平成二四年(2012年)東京スカイツリー開業平成二三年(2011年)東日本大震災平成二二年(2010年)新成長戦略平成二一年(2009年)米国オバマ大統領就任行政刷新会議平成二十年(2008年)リーマン・ブラザース経営破綻平成一九年(2007年)新潟中越沖地震平成一八年(2006年)行政改革推進法平成一七年(2005年)クールビス発表平成一六年(2004年)新潟中越地震形成段階〇中小企業の実態・特性に応じた施策を通じた支援方策の創出・試行。⃝知的財産基本法⃝知的財産戦略本部・地域知的財産戦略本部成果と課題○知財施策推進体制構築○中小企業の知財活用の詳細把握○戦略的な知財活用・経営との関係に着目した支援方策の提起実践段階〇中小企業支援のモデル手法を全国へ展開。⃝普及支援課設置⃝情報ツール・マニュアル類の充実⃝各種専門家(アドバイザー、プロデューサー等)の派遣による訪問型支援⃝外国出願補助金開始⃝スーパー早期審査開始 ほか成果と課題○「知的財産経営」の定義化○支援モデルを活かした地域展開●出願の厳選や景気後退の影響による出願件数等の減少●新たな施策立案の必要性強化・拡充段階〇地域・中小企業の経済活動を支える支援体制・施策の充実。⃝地域知財活性化行動計画⃝知財総合支援窓口開設⃝情報ツール更改・刷新⃝各種専門家(知財専門家、アドバイザー、プロデューサー等)による伴走型支援⃝知財金融促進⃝ベンチャー・スタートアップ支援⃝グローバル知財マネジメント人材育成⃝海外侵害対策の充実⃝特許庁減免制度改定 ほか成果と課題○地域・利用者目線での知財支援の実践(伴走型支援の確立)○窓口機能の強化○啓発ツールの再編・拡充○支援対象を特化した支援手法採用●地域・中小企業における知財意識の一層の拡大●知的財産経営の実践拡大●地域・中小企業の経済活動に連動したニーズを捉えた施策展開●支援体制の一層の拡充
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