特許行政年次報告書 2019年版
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特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版183第8章● 事例1:株式会社タイラ(埼玉県所沢市)〇概要 株式会社タイラ1は、プラスチック類・ゴム類などの化成品加工にて高い品質と柔軟なノウハウ、ニーズ対応力を持つ埼玉県の企業である。完全受注生産型であった事業形態から脱却し、自社製品の商品化を目標としていたところ、事業プロデューサーとの連携により、学生アイデアとのコラボレーションや開放特許の活用など新しい試みを重ね、念願の自社製品である香る単語帳「FLAROMA(フラロマ)」の開発・商品化に成功した。〇詳細 株式会社タイラは、プラスチック類・ゴム類などの化成品加工にて創業42年の歴史をもち、電化製品や文房具等製品の一部の製造を実施しており、蓄積された高い加工技術と多種多様な仕入れノウハウを有していた。 株式会社タイラの事業は完全受注型であり、事業の拡大を目的とし、新たな事業の柱として自社製品(“Made in Taira”)の開発を目標としていたものの、新商品の企画・開発、販路開拓等の経験やノウハウがなく、自社製品のアイデア出しや、その後の具体的な商品化の検討が難航していた。 さいしんコラボ産学官2主催の「中小企業のための『知財を活用した商品アイデア創出事業』2017 in 埼玉大会」にて、富士通株式会社の開放特許3を活用した“香る単語帳”の学生アイデアが最優秀賞を受賞していたところ、事業プロデューサーは、商品アイデアの実現企業として、プラスチック製品や文房具の加工・製造に技術力を持ち、新製品の開発を目指していたタイラを推薦した。そして、開発プロセスの整理、販売戦略立案、知財戦略立案等、新規開発を行うための道筋を示し、商品化の過程で創出された新たな開発アイデアを特許出願する支援4、商標「FLAROMA」の出願の支援5等も行い、株式会社タイラの念願の自社製品である、香る単語帳「FLAROMA(フラロマ)」の開発・商品化につなげた。〈支援先企業のコメント〉 ご支援頂きありがとうございました。完全受注生産から脱却し、念願の自社製品の商品化を図ることが出来ました。開放特許など未知の分野へのチャレンジでしたが、社内の若手社員等とともに検討した商品企画や他分野の企業との連携、販売戦略の検討など、社内に貴重なノウハウを築くことが出来ました。引き続きご支援をお願いいたします。事業プロデューサーの支援事例 地方創生のための事業プロデューサー派遣事業は、2016年度から3か年の事業として実施された事業であり、2016年10月~11月に事業プロデューサーの派遣が開始された。派遣期間内に事業化に至った26件のうち、2018年度に事業化に至った2件を紹介する。Column 121 1975年に設立、パッキン材・絶縁材・シールド材・テープ材等の製造2 http://www.collabosgk-saitama.com/3 「芳香発散装置」特許第5595698号4 特願2018-857735 商願2018-613232

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