特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版194第8章多様なユーザーへの支援・施策e.海外特許庁・国際機関との特許情報の交換及びその情報の活用 日本国特許庁は、海外特許庁等との合意に基づいて、公報情報をはじめとする特許情報の定期的な交換を行っている。2018年度には、新たにマレーシアと特許情報の交換を行うことを確認した。日本国特許庁は、入手した特許情報を庁内で審査資料や先行技術の検索のためのデータとして利用するとともに、前述したJ-PlatPat、FOPISER等を通じて一般に公開・提供している。また、交換データを基に和文抄録データを作成し、庁内外での活用を図っている。 一方で、我が国の特許公報等が海外でも先行技術として適切に考慮されるように、日本国特許庁の保有する特許情報を海外特許庁や国際機関へ定期的に提供している。2013年6月に開催された五庁長官会合において、特許情報をマージナルコスト1又は無償で提供すること等、各国特許庁間の障壁無き特許情報流通のための基本原則を合意した。2014年7月から当該基本原則に基づくデータ交換が開始されており、今後、当該基本原則の枠組みを拡大させることを検討している。f.特許庁が保有するデータの一般提供2 現在、特許庁及びINPITは、特許情報標準データ、整理標準化データ、公開特許公報英文抄録(Patent Abstracts of Japan(PAJ))、米国・欧州・中国の公報の和文抄録等の各種データを作成している。これらの各種データは、審査資料として庁内で利用されるだけでなく、J-PlatPat に蓄積され、一般向けの検索・照会サービスに活用されている[2-8-18図]。 また、民間事業者向けに特許情報の一括ダウンロードサービスを提供し、ユーザーのニーズに応じた高付加価値・多様なサービスの提供を促している。1 データの複製費用、データの格納する媒体の費用及び送付等のための追加的経費のみで、データ作成、メンテナンスを含まない費用のこと。2 特許庁の提供する主なデータの一覧は統計・資料編 第6章2.を参照のこと。2-8-18図 特許庁・INPITが作成・提供する主なデータデータ名データの概要特許情報標準データ審査経過情報等の各種情報を一般に利用しやすいTSV形式に変換・加工したもの。2019年5月より新たに提供開始。整理標準化データ審査経過情報等の各種情報を一般に利用しやすいXML等の形式に変換・加工したもの。2019年9月に提供終了予定。公開特許公報英文抄録(PAJ)日本の公開特許公報の要約を人手で英語に翻訳したもの。欧米特許和文抄録米国特許明細書、米国公開特許明細書、欧州公開特許明細書の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載内容を翻訳者が読解の上、発明の内容を要約して日本語にて抄録文を作成したもの。中国特許和文抄録以下の3種類のデータが存在する。・2010年~2015年に公開された中国特許出願公開公報の要約を人手により日本語に翻訳したもの。・機械翻訳の補完として、一部の中国登録特許公報について、特許請求の範囲及び明細書等から発明の内容の理解に必要な部分を摘記し、人手により日本語に翻訳したもの。・国際調査報告で引用された一部の中国公開特許公報または中国登録特許公報の全文を、人手により日本語に翻訳したもの。中韓文献機械翻訳文J-PlatPatで提供する中国語及び韓国語の特許・実用新案文献の全文機械翻訳文。

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