特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版209第9章(1)生徒・学生向けの人材育成①知財創造教育の普及 イノベーションの創出のためには、新しいものを創造する人材や、創造されたものを活用したり他の様々なものと組み合わせたりして、新しい価値を生み出す仕組みをデザインできる人材が必要である。そこで特許庁は、発達段階に応じて、新たな発見や思考の源泉となる創造性を育むとともに、知的財産の保護・活用の重要性に対する理解の増進と態度形成を図り、もって知的財産の創造に始まり、保護・活用に至る知的創造サイクルの好循環を生み出すための人材を育む「知財創造教育」の普及に取り組んでいる。a. 中等教育段階における知財創造教育の推進に資する教材に関する調査研究(2018年度) 初等中等教育段階における知財創造教育に資する既存教材の整備状況を把握する足掛かりとして、中学校教育の「技術・家庭科」における知財創造教育の推進に資する教材の調査、分析を行った。そして、調査結果から、中学校教育の「技術・家庭科」で知財創造教育の推進に資する汎用性の高い教材について検討し、「知財創造教育モデル」、「具体的活用事例」及び「活用ガイド集」からなる教材を作成した。これらの教材は特許庁ウェブサイト1で提供している。1.知的財産人材の育成b. 小中高等学校において知財創造教育を実施できる人材の養成に必要なテキストに関する調査研究(2018年度) 教育現場の職員が知財創造教育の内容、必要性、指導方法を十分理解できるよう、教員免許状の更新講習や教職課程等の講義を通じて利用できるテキストを整備することを目的として、知財創造教育に関するコンテンツを収集した上で、小中高等学校において「知財創造教育」を実施できる人材の育成に資するテキストのあり方について検討を行った。また、これらの結果を基に、教育現場の教員や教育学部で学ぶ学生が知財創造教育の実施について理解する際に利用するテキストとして導入しやすく、現場の教員が見慣れている学習指導案を多く取り入れた「新しいモノ・コトを楽しく創る知財創造教育 未来を創る授業ガイド ~すべての教科ですぐに始められる学習指導案事例とヒント~」を作成した。このテキストは特許庁ウェブサイト2で提供している。c. 知的財産に関する創造力・実践力・活用力開発事業 特許庁及びINPITは、ものづくりや商品開発等の実践の場を通じて、知的創造力を育む取組を行う専門高校(工業・商業・農業・水産)及び高等専門学校に対し、必要な支援を実施している。これは、アイデアを知的財産へ具体化、模擬的な出願書類を作成する過程等を通じて、生徒・学生に、新しいものや仕組みを企画・提案する「創人材育成に向けた支援・施策第9章 特許庁及び独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)は、多種多様な知的財産人材の育成と、知的財産マインドの向上を目的に、知的財産人材育成の取組を行っている。 本節では、それらの人材育成の取り組みについて紹介する。1 中等教育段階における知財創造教育の推進に資する教材に関する調査研究報告書 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2018_02_zentai.pdf2 新しいモノ・コトを楽しく創る知財創造教育 未来を創る授業ガイド ~すべての教科ですぐに始められる学習指導案事例とヒント~ https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2018_05_hint_zentai.pdf
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