特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版211第9章(2)知的財産専門人材の育成①弁理士の育成 従来から、経済のグローバル化が進む中、我が国産業の国際競争力を高めるために、知的財産の創造・保護・活用がますます重要となっている。知的財産制度の重要な担い手である弁理士には、これまで以上に知的財産の創造・保護・活用の促進に貢献することが求められている。 特に、中小企業・小規模事業者が知的財産を戦略的に活用していくためには、弁理士によるこれまで以上に裾野広くきめ細かいサービスの提供が不可欠となっている。また、我が国企業のグローバルな事業展開の進展に伴い、我が国からの国際特許出願件数も年々増加しており、こうした国際展開を着実に進めるためにも弁理士の重要性がますます高まっている。 このような状況下で、知的財産に関する専門技術的な知見を有する弁理士の更なる育成及び活用を図るべく、弁理士法について所要の改正を行ってきた。【2000年改正】・弁理士試験の簡素合理化・利用者のニーズの多様化に応じた業務の拡大【2002年改正】・特定侵害訴訟1(弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限る。)における訴訟代理権の付与【2007年改正】・弁理士の有する専門的知見を活用できる分野について業務を拡大・弁理士の裾野拡大のため、弁理士試験の免除の拡大・弁理士の資質の維持及び向上に向けた研修制度の創設・名義貸し禁止規定の導入【2014年改正】・弁理士の使命の明確化・発明等の保護に関する相談業務の明確化・弁理士の利益相反行為の緩和【2018年改正】・標準関連業務を弁理士の業務として追加・データ関連業務を弁理士の業務として追加 また、特許庁は、過年度のコンテストにおいて入賞し、出願支援を受けて権利設定された特許権・意匠権を活用して事業化がなされた事例の中から、特に優秀なものを表彰する賞として、「パテントコンテスト・デザインパテントコンテスト特許庁長官賞」を設けており、2018年度は「まくわうりの風味を引き出したアイスクリーム」に関する特許を活用して事業化に成功した岐阜県立岐阜農林高等学校まくわうりひろめ隊を表彰した。1 特許、実用新案、意匠、商標若しくは回路配置に関する権利の侵害又は特定不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟。コンテストの流れ 特 許 証コンテストの流れ特 許 証意匠登録証【デザインのみ】意匠制度に関するセミナーの受講などの学習❻ 特許庁の審査❺ 特許庁へ出願❹ 特許・意匠登録出願書類の作成❼ 特許・意匠登録査定❶ ホームページでの 参加登録と応募書類 の作成・郵送❷ 応募書類の 審査・選考❸ 優れた発明及び 意匠を表彰特許権・意匠権取得メリット3特許料・意匠登録料(第1~3年分)主催者負担メリット2特許出願料と審査請求料意匠登録出願料主催者負担メリット1弁理士の相談料主催者負担弁理士のアドバイス岐阜県立岐阜農林高等学校まくわうりひろめ隊による「まくわうりアイス」
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