特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版219第9章三菱電機株式会社(東京都) 三菱電機株式会社は、重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器等の製造・販売を行っている企業である。知財活用企業(意匠)受賞のポイント■社長直下に知的財産部門(知的財産センター)を配置し、知的財産担当役員が統括。知的財産は事業競争力の重要な要素と位置付け、事業戦略、研究開発戦略、知的財産/標準戦略の三位一体経営を実施している。また、開発ロードマップ、事業ロードマップに対応し、必要となる知財活動を3~5年のレンジで時系列に整理した知財ロードマップを作成している。■意匠権は、デザイン力アピール、他社への牽制、模倣品対策等への効果が高いとの考えから、事業・製品を守るために積極的に出願して権利を活用している。2017年の意匠登録件数及び特許登録件数はともに国内第1位、ハーグ協定を利用した国際意匠出願件数は世界第11位(国内企業としては第1位)である。主力機種であるエレベーター、FA機器のシーケンサ、放電加工機等は多数の意匠権で保護している。また、最近では、「路面等に誘導案内や注意喚起表示をライティング技術により投影するデザイン」といった新たな意匠の保護にもチャレンジしている。■海外でも意匠権等を積極的に権利化し活用している。中国及び欧州で当社ハンドドライヤー製品とほぼ同一の他社品を発見し、当該製造業者・販売業者に対して意匠権を行使している。毅然とした対応を講じることで、顧客の安全を守り、三菱ブランドやビジネスを保護している。企業担当者による知財活動の紹介 当社では、開発本部の中に、独立した組織としてデザイン研究所があります。当社が扱う製品は多岐に渡っており、デザイン・意匠を取り入れた製品設計は、デザイン研究所が主体となってデザインドリブンで開発を進めています。このような開発は、エレベーターやFA機器、家電製品のみならず、半導体や社会インフラシステムに至るまで広く全社で行われています。 また、当社では、意匠権の取得目的は、①デザイン力のアピール、②他社への牽制、③模倣品対策にあると考え、「意匠網の構築」、「特許権や商標権と組み合わせた多面的保護」、「グローバルな意匠出願」の三本柱を戦略として活動を推進しています。意匠網の構築ではバリエーションも含めた広い権利を取得すべく、コンセプト・製品設計の段階から開発者・デザイナーと知財担当者とで出願検討会を開催し、関連意匠や部分意匠等の意匠特有の制度も利用して、多様な意匠出願を行っています。 さらに、製品・技術を機能とデザインの両面から保護するため、特許網の構築に併せ、国内外での意匠権取得活動を積極的に推進しています。安全性、操作性、作業性を兼ね備えたシーケンサMELSEC iQ-R/Fシリーズ側面開放型のデザインで子どもも使いやすいハンドドライヤー
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