特許行政年次報告書 2019年版
252/356

特許行政年次報告書2019年版222第9章人材育成に向けた支援・施策受賞のポイント■異業種やベンチャー企業と共同研究開発等を積極的に行い、新規事業の創出を加速する方針を採用し、全社的にオープンイノベーションを推進している。オープンイノベーションを推進する組織とその担当役員を設け、オープンイノベーションの推進体制を確立するとともに、協業先から役員や担当者を受け入れて、連携を加速させている。■製造業向けのオープンなIoTプラットフォームを構想し、ベンチャー企業等と共同でそれを開発して、運用を開始しており、現在は500社以上の企業がパートナーとして参加している。ベンチャー企業との協業により、AIサーボチューニング技術、AI熱変位補正技術などのAI制御技術を開発し、従前よりも精度の高い制御を可能とした製品を提供している。■他社との共同出願契約やライセンス契約が増加する中、開発した技術に応じ、お互いの利益が損なわれないよう、相手の立場に十分配慮したバランスの取れた対応を推進している。また、「特許なしの開発はなし」をスローガンに、事業部と特許部で特許検討会議を定期的に開催して、戦略的な出願を速やかにできる体制を構築し、確実に権利化を進めている。他社との協業の成果は、重要案件であるため、知財を確実に権利化できるように総力を挙げて対応している。企業担当者によるオープンイノベーション、知財活動の紹介 当社は創業以来、一貫して工場の自動化を追及し、研究開発を企業経営の基本として競争力のある商品の開発を行って参りました。一方、昨今のIoTやAI技術を用いた技術革新に対応するには、革新的な商品開発をよりスピーディに行うことが極めて重要となって参りました。そこで、事業を協調領域と競争領域に明確に区分けし、協調領域についてはその知見をもったベンチャー企業や有力企業と連携して研究開発を行う「オープンイノベーション」を推進しました。 これにより、製造業向けオープンプラットフォームであるFIELD systemを早期に立ち上げ、世の中に無い製造現場のAI機能を次々と生み出すことができました。ここで重要なのは、連携する企業と必要なリソースを互いに活用し、win-winな関係となるエコシステムを構築し、このエコシステムを活用しながら自社の強みを最大化することです。そのために、当社知財部門では、戦略的な特許出願を全社的に実施すると共に、適切な知財契約を他社と締結する支援を行っております。ファナック株式会社(山梨県) ファナック株式会社は、CNCシステム、レーザ、ロボット(ロボットシステムを含む)、ロボマシンの開発・製造・販売・保守サービスを行っている企業である。オープンイノベーション推進企業FIELD system とは、製造業での更なる生産性向上と効率化を目指した、製造業向けオープンプラットフォーム(FANUC Intelligent Edge Link & Drive system)FIELD system用ハードウェアFIELD BASE Pro

元のページ  ../index.html#252

このブックを見る