特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版224第9章人材育成に向けた支援・施策受賞のポイント■業務のデジタル化が進む様々な産業において、データ入力・収集の手段となるバーコードやICタグを発行するプリンタを製造。多数の特許で独自技術を保護し、世界トップレベルのシェアを確保している。特許は創業者の時代から強く意識しており、創業者の教えをまとめた「サトーの教育書」の「特許編」では、知財の基本的事項や知財事案をわかりやすく整理しており、その他の知財情報とともに社員に共有し、特許に関する活動の奨励に活用している。■知財部門は社長直轄で、経営会議への審議の上程とは別に、社長に対して知財に関する月例報告会を実施しており、その中で知財の重要事項について方針を決めることも多い。5年前から知財マネジメントの近代化を推し進めており、「知的財産長期基本戦略」をまず定め、中期経営計画の達成に貢献するための「知的財産中期事業計画」を策定している。また、毎年「知的財産報告書」を和文と英文で作成し、国内外の社員と共有した上で、知財活動をレビューしている。■知的財産室長、パテントポートフォリオマネジャー、担当者ほか、必要なメンバーが集まり、最低週2回、年100回以上の知財に関する検討会を開催している。また、お客さま価値につながる特許の取得を念頭に権利化業務を推進した結果、特許の実施率が4年間で30%向上した。企業担当者による知財活動の紹介 「知的財産中期事業計画」の下、具体的な施策に落とし込み、毎年50~70もの課題を設定し、知的財産室のメンバー全員で課題解決に取組んでいます。それにより、事業活動への貢献感を得られるようにし、メンバーのやる気を引き出すと同時に大きな成果を上げることができました。 「お客様の課題を解決する技術こそ、事業に直接貢献するものである」との考えから、戦略特許網ごとに「顧客価値軸」を設定して発明発掘を行い、お客様価値につながる特許取得を進めた結果、特許実施率が大幅に向上し、筋肉質で競争力のある知財ポートフォリオに変化してきています。 一方、海外事業の拡大に対応して外国での権利化活動を強化するなか、特許担当者は、各国の審査状況を踏まえながら整合性をとり、最適な対応を検討することで、各国で均質で広くて強い権利を確保する取組みを行っています。 これらを支えるのは、権利化手続のフェーズ毎に関係者が集まる検討会です。多様な意見を取り入れ、真に事業貢献する特許の創出につなげており、また、本質を捉えて様々な選択肢の中から最適と考える打ち手を徹底して討議することが、人財育成の場となっています。サトーホールディングス株式会社(東京都) サトーグループは、自動認識ソリューション商品の企画・開発、設計、製造、販売、保守等を行っている企業グループであり、サトーホールディングス株式会社は、グループ経営戦略の策定・経営管理を行っている純粋持株会社である。知財活用企業(特許)②特許庁長官表彰主力商品のユニバーサルプリンタ「スキャントロニクスCL4/6NX-Jシリーズ」2000年より毎年、発明表彰式を盛大に開催し、知財活動を奨励している

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