特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版225第9章受賞のポイント■シンプルなデザインの中の特徴的部分やアイコン的デザインを保護するため、デザイナーの創作の意図を汲みつつ効果的に保護することが可能な部分意匠制度を積極的に活用している。多数の意匠で保護している使い捨てカミソリでは、国内シェア約4割を占め、シェアトップである。また、世界初の3枚刃カミソリを開発したメーカーとして海外からも広く認知されており、「関孫六」・「旬」ブランドなどの包丁は、国内外から高く評価されている。■中期経営方針の中で「顧客志向の高付加価値な商品・サービスを実現するための知財強化」が全社方針の一つとして掲載されており、当該方針の策定には、知的財産情報分析も活用している。また、副社長が本部長を務める経営戦略本部内に知的財産部を設置し、副社長と執行役員知的財産部長とで知財に関する報・連・相を毎週実施している。■税関における取り締まり効果を見越して、見た目で侵害を明らかにできる意匠の出願に力を入れ、権利を長期間維持して、模倣品による被害防止に取り組んでいる。さらに、各国の有名シェフとコラボした高級包丁や調理ツールを欧米含め広く展開しており、コラボレーションビジネスを守るため、当該国にて意匠・特許等で知財網を構築している。企業担当者による知財活動の紹介①IPランドスケープを使いこなし先見力を発揮する企業へ 全社中期経営方針に知的財産戦略を組込んでおり、とりわけ、IPランドスケープ手法の実践を重視しております。商品企画や事業開始「前」の段階から知的財産部が入り込み、自社の進むべき道を指し示す“水先案内人”機能を発揮することで、知財起点で新商品、新事業を生み出す事を目指しています。 その定着のため経営会議メンバー・関係部署へ「IPランドスケープ通信」の定期発信を開始、「IPランドスケープ」を社内の共通言語とし全社的に使いこなせるよう進めております。②企業競争力に直結するデザイン活用へ 「デザイン=意匠」という既成概念ではなく、知財ミックスを強く意識し、コモディティー化傾向にある弊社技術・商品分野の高付加価値化を目指しています。商品開発基準を「D・U・P・S(Design・Unique・Patent・Story/Safety)」と設定するなどデザインを重視しており、機能美を追求したプロダクトデザインを行うことを含め、中期経営方針である「顧客志向の高付加価値な商品・サービスの実現」に一層取り組んで参ります。貝印株式会社(東京都) 貝印株式会社は、カミソリ、包丁に代表される刃物、キッチンウェア、ビューティーケア用品、医療用刃物、業務用刃物を製造販売する総合刃物メーカーである。知財活用企業(意匠)Michel BRAS(ミシェル・ブラス)仏ミシュラン三ツ星獲得実績のあるシェフMichel Bras氏のレストランや食材等のブランド「Michel BRAS」とコラボした高級包丁Xfit(クロスフィット)肌に合わせて自由に動く、世界初独自の3D首振りヘッドを搭載した5枚刃使い捨てカミソリ
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