特許庁における取組第2部特許行政年次報告書2019年版227第9章受賞のポイント■社長を始め開発メンバーもユーザーとの交流を重視しており、ユーザーと一緒にキャンプをするイベントであるスノーピークウェイなどを通じて、ユーザーの要望を充分に把握しつつ、担当者が自らもユーザーの立場で自分が欲しい製品・サービスを開発・デザインしている。担当者の想いがいき過ぎてしまわないように、担当者はユーザーの要望を十分に考慮しており、製品候補の抽出や製品開発の最終判断は社長が実施するようにしている。■企画段階からデザイン段階、製造ラインにのせるまでの全てのプロセスを1人の担当者が一貫して担当して、製品化を進めている。また、社内のトップクリエーターが、マネジメントコースではなく、デザインに集中できる環境を整えるために人事制度等の見直しを実施して、優れた商品を生み出しやすい体制を構築している。デザインと機能を兼ね備えた同社製品は、スノーピーカーと呼ばれる熱狂的なファンが多く、多額の製品購入実績がある会員が多数存在している。■ブランディングの一環として、製品名称やコーポレートロゴを網羅的に権利化しており、今後の海外展開に先んじて、海外での権利も取得している。また、中国で冒認商標への対策のため、異議申立てをしたり、コピー製品に対しては厳正に対処するなど、権利を活用してブランドを保護している。企業担当者による知財活動の紹介 スノーピークはアウトドア用品メーカーでありながら、実態は「デザイン会社」であるということを経営の根幹に据えています。製品は機能性、耐久性に加え、製品を置いたその場所をも美しく見せる高いデザイン性を追求しています。 デザインはすべて社内にて行っており、新潟県三条市の雄大な自然の中に構える本社、常に自然に触れる環境の中で、新たなデザインを生み出しています。製品の製造においては、高い金属加工技術を誇る新潟、燕三条地域の事業者のデザインプラットフォームになることで、地域の技術力を国内外に発信しています。 また、小売りにおいては、店舗、イベント、SNSなど、リアルとデジタルを融合した顧客とのコミュニケーションをデザインすることでコミュニティブランドとして多くのお客様にご支持いただけるようになりました。 こうした強みを活かし、近年では、地域がもつ魅力を磨き上げて発信する「地方創生」、住宅やオフィスなど普段の生活や職場にアウトドアの要素を取り入れる「アーバンアウトドア」「ビジネスソリューション」等、新たな市場創造にも取り組んでいます。今後もデザインを経営の中核に据え、新たな価値創造に邁進してまいります。株式会社スノーピーク(新潟県)株式会社スノーピークは、アウトドア製品の開発・製造・販売・レンタル、アパレル製品の開発・販売、イベント企画、地方創生コンサルティング、グランピング、キャンプ場経営等を行っている企業である。デザイン経営企業ユーザーの声から生まれたスノーピーク初のシェルター「スノーピーク」ロゴ
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