特許行政年次報告書 2019年版
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特許行政年次報告書2019年版242第1章国際的な知的財産制度の動向 世界の特許出願件数は2008年から2017年までの10年間で1.6倍となっている[3-1-1図]。その主要因は、中国の特許出願件数の著しい増加であり、2008年から2017年までの10年間で約5倍となっている。2017年における中国の出願件数は世界の出願件数の約4割を占めている。また、アジア圏の日中韓3か国の特許庁への2017年の特許出願件数は約190万件であり、世界の特許出願件数約317万件の半数以上を占めるまでとなった。 意匠および商標分野においては、中国が単独で世界の出願件数の6割以上という圧倒的な割合を占めている[3-1-2図、3-1-3図]。1.出願動向の変化とグローバル化 出願活動のグローバル化は、特許、意匠、商標それぞれの分野において異なる動きをみせている。 2017年における五庁が受理した海外からの出願比率を見ると、日本・中国・韓国の特許庁では10%〜22%程度である一方、米国・欧州特許庁では約50%となっている[3-1-4図]。五庁以外のアジア、オセアニア、南北アメリカ等のほとんどの特許庁において、海外からの出願の方が国内出願よりも多い[3-1-5図]。このことから、世界全体としては、特許出願がグローバルに行われていると言える。 新興国市場の成長による輸出先の拡大、生産拠点・研究開発拠点の海外進出など企業活動のグローバル化が進むことで、国外における知的財産権取得の意識が高まっている。各企業等は、各々の知的財産について、これまで以上に多数の国・地域に出願するようになり、各国・地域の知的財産制度を踏まえつつ、それぞれの国・地域において権利を取得し、活用するという状況が生じている。 こうした状況の中、各国・地域の知財庁等は、知的財産分野における種々の課題を考慮し、知的財産制度をより魅力的なものにするべく、様々な取組を行っている。 本章では、まず、企業活動のグローバル化に伴う世界全体の出願動向の変化について紹介し、次に、各国・地域それぞれにおける知的財産制度の動向について紹介する。国際的な知的財産制度の動向第1章

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