国際的な動向と特許庁の取組第3部第1章特許行政年次報告書2019年版257 2019年3月18日、国務院は「国務院が一部の行政法規を改正することに関する決定(国務院令第709条)」を公布した。この改正により、「技術輸出入管理条例」及び「中外合弁経営企業法実施条例」の技術移転に関連する一部条項が改正された。 具体的には、「技術輸出入管理条例」については次の条項が削除された。●中国のライセンシーが他人の権利を侵害した場合、外国ライセンサーが責任を負うこと(第24条第3項)●移転後の改良技術は、改良した側に帰属すること(第27条)●技術輸入契約の制限的条項を禁止すること(第29条) また、「中外合弁経営企業法実施条例」についても、次の条項が削除された。●技術移転協議書の期間は一般的に10年を超えないこと(第43条第2項第3号)●技術移転協議書の期間満了後も、技術譲受側は当該技術を引き続き使用する権利を有すること(第43条第2項第4号) この背景には、2018年3月に米国通商代表部から公表された1974年通商法第301条の調査報告書において、技術輸出入管理条例などの技術ライセンス規則が中国企業に比べ米国企業が差別的に扱われているとして問題視されていた点が挙げられる。 ただ、今回の改正において、外国企業の懸念が解消されたとまでは言えない可能性がある。すなわち、これら改正において削除された条項に関連する内容が契約法や対外貿易法、また過去の司法解釈などに規定されており、依然として制約を受ける場合もあるためである。 中国企業との技術ライセンス契約に当たっては、引き続き中国関係法令及び運用に留意が必要である。技術輸出入管理条例等の改正日本貿易振興機構 北京事務所Column 20
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